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環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

統合・独立行政法人化は「機能強化」ではなく後退。2月市会で撤回を。

本質論

 橋下前市長は、大阪市立環境科学研究所(環科研)と大阪府立公衆衛生研究所(公衛研)という2つの地方衛生研究所を、「二重行政」として統合し、独立行政法人へ移行させようとしてきました(独法化)。

これは、大阪市を廃止する「都構想」を前提にしたものでした。

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(写真は環科研)


大阪市会(市議会)では、2014年から、「二重行政のムダはない」「大阪市として責任をもって保健衛生行政を行うべき」と3回にわたり研究所の廃止を否決してきました。

そして2015年5月には、住民投票で「都構想」は否定されました。

しかし、吉村・新 大阪市長は、橋下改革について「修正するところは修正する」と言いながら、「研究所の統合、港湾管理の一元化など、機能強化が図れるものについても、具体像を示して前に進めるための議論をしていきたい」(2015(H27)年12月25日 施政方針演説)などと、あくまで従来の統合案(独法化)にこだわり、この2月議会にも再度議案を出そうとしています。

以下、地方衛生研究所とは、大阪市の議会で独法化が否決されてきた理由などをまとめました。ぜひ読んでください。転載歓迎。

地方衛生研究所とは?

地方衛生研究所は、新型インフルエンザやデング熱、結核などの感染症、O-157などの食中毒、農薬混入、危険ドラッグ、放射能、水道水の質といった、私たちの日常生活にかかわる検査、調査や研究をおこなう行政機関です。

健康危機から住民をまもる対応は、保健所があたりますが、地方衛生研究所は保健所・行政と一体となって、迅速な原因究明や公権力行使の科学的根拠となる検査を行っているのです。

地方衛生研究所は、すべての都道府県・政令指定都市に設置が求められており、全国79か所すべてが公立運営です。特に人口密集地である大阪市で公立運営をやめるのは重大なリスクとなります。

また、従来の統合案では、大阪市立環境科学研究所の環境分野(大都市の大気や水質問題)の機能を切り離してしまうことも、大きな問題です。

 

自民党、公明党は市民のために反対してきた

従来の統合案(独法化)では、機能強化は図れないことが、以下のように、議会の議論でも明らかになりました。

市民の健康と生活をまもるため、自民党や公明党が反対してきたのは当然です。

5月住民投票で「都構想」が否決されたことを踏まえ、大阪市と大阪府は統合・独立行政法人化を見なおすべきです。

 

●2014(H26)年12月17日 石原信幸議員(公明党)

民間に任せられるものは任せたらいいが、最終的に行政権限を発動する限りは、間違ってないことの裏づけをきちっと持った上で発令していくということになりますので、行政と、そして環科研が一体となって成し得ていくもの。

正確に積み重ねたデータと研究、そして黙々と市民の生活・安心・健康を守ろうとするその蓄積というのは、失ってしまえばもう二度と取り返すこともできない。

 

●2014(H26)年12月17日 多賀谷俊史議員(自民党)

いわゆる効率論とか組織論で一緒にすべきだとか、二重行政だというふうなことで一緒にすべきだという意見がまかり通っておるんですけれども、実際には大阪市民にとってどうなのかということをしっかりと議論すべき。

大阪市の責任をしっかりと持つあり方を改めて検討し直す必要がある。

 

●2015(H27)10月2日 西川ひろじ議員(自民党)

5月の住民投票で都構想が否決された今、政令指定都市である大阪市存続を前提に考えるべき。統合ではなく、両研究所の連携をこれまで以上に強化し、両研究所の機能強化を図ることが重要。

政令指定都市として責任を持って保健衛生行政を行っていく必要があり、行政と一体となって運営できる環境科学研究所は不可欠である。

 

●2015(H27)10月2日 山田正和議員(公明党)

両研究所の役割は明確に分かれておりまして、二重行政というものではない。

環科研は衛生研究所と環境研究所の機能をあわせ持つことが強みであり、機能を維持し、充実させる必要がある。

広範囲の連携に取り組んで、両研究所のさらなる連携強化を図っていくべき。

提案の中身が変わってないのでありますから我々の考え方が変わるのもおかしな話。

 

統合による機能強化はない。

大阪市は、「新たな感染症や大規模な食中毒等の広域的な健康危機事象」に対し、「(統合・独法化により)スケールメリットを生かし、統合により倍増する研究員を集中的に投入し、初動体制を素早く構築することができる」などと繰り返し説明してきました。

 しかし、組織を統合しても研究員が増えるわけではありません。広域的な健康危機事象では、2つの研究所とも大量の検査にあたってきたのであり、組織統合すれば研究員を集中的に投入できるわけはありません。

 また、組織統合しても施設は統合される予定はありません。環科研は耐震化工事が終わったばかりであり、公衛研は平成30年度中に近隣の健康科学センター内に移転が決まっています。施設統合のスケールメリットもないのです。

 

独立行政法人化では住民の健康のための機能が「リストラ」されてしまう

独立行政法人とは、行政が「自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」について、行政から切り離し、「効率性の向上、自律的な運営を図ることを図ることを目的とする制度」(総務省HP)とされています。

公衆衛生をまもる業務は、お金をもうける仕事ではありません。しかし独立行政法人では、限られた予算の中で、住民の健康のための検査が「ムダ」とされ、「企業の金もうけ」を目的とする研究所に変えられてしまうおそれがあります。

実際、統合・独法化を推進した上山信一特別顧問は、研究所の役割を「主に産業支援」とし、地方衛生研究所の「リストラ計画」を指示していました。

それで、府議会では「(独法化の)議論では、リストラの話もあると聞いており、健康危機事象が起こった時に、研究所が役割を果たせるのか」と問題になりました。(2014(H26)年2月28日府議会代表質問)。

 

日常検査の予算が削られれば、短期雇用の職員が増え、職員の技術継承は途絶えてしまいます。危機事象が起こった時には対応できないことは明らかです。

かつてイギリスでは、「小さな政府」の方針のもと、さまざまな行政機関が民営化され、衛生研究所も独立した組織になりました。しかし、その結果、公衆衛生は大きく後退し、イギリス政府は、健康危機管理に関わることは「民営化」「独立行政法人化」はなじまないと判断し、2013年には政府の責任として保健省の組織として一体化されています。

独法化の失敗、やり直しに伴う住民の健康リスクと税金負担は甚大であり、独法化は止めるべきです。

 

市民の健康を守るのは市長の責務

2016年4月に施行される感染症法の改正では、地方衛生研究所の機能を強化するため、自治体による「検査の責務」が法律に明記されました。厚生労働省は「地方衛生研究所の有する機能の法律上の明確化」としています。

新型インフルなどの健康危機の高まりを受けて、全国的に予算削減・弱体化の傾向にある地方衛生研究所の現状に、国がそれではまずいと認識しているということです。

それを独法化とは完全に逆方向です。

地方衛生研究所は、まさに大阪市・大阪府がそれぞれ責任をもって「直接に実施すべきもの」であり、独法化してはなりません。健康危機事象に対応できなくなれば、市長は責任が取れるのでしょうか。独法化方針こそ、修正が必要です。