環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

大阪市議会(10月2日)で環科研の廃止条例が否決されたときの議事録

ブログで、環科研・公衛研の独法化にかんする議会の重要な発言を載せていきます。

まずは、つい3か月前の大阪市議会(10月2日)で環科研の廃止条例が否決されたときの議事録です。

橋下維新は、いまだに大阪市廃止(都構想)を進めるために、リストラのねらいを隠して「統合・独法化は機能強化のため」「職員倍増」の発言をくりかえしています。よくそんなウソがつけるな。

維新以外の議員はその矛盾を指摘した上で、大阪市という大都市部における健康危機管理のあり方の議論を前向きによびかけています。

もう終わった「統合・独法化」の提案を何度も繰り返すのは不誠実。

2016年2月議会で再度出してきても、維新以外の市会議員のみなさんは再度のNOをつらぬき、否決させてください!

これを読んだみなさんもぜひ反対の声を広げてください。

 

以下議事録です。

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定例会常任委員会(民生保健) - 10月02日-01号

           大阪市会民生保健委員会記録

 ◯平成27年10月2日
◯市会第1委員会室
◯議題 1.付託案件の審査

     (2) 議案第230号 大阪市立環境科学研究所条例を廃止する条例案
     (3) 議案第231号 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案
◯出席委員 14名
         委員長       高野伸生君
         副委員長      福田武洋君
                   杉田忠裕君
         委員        美延映夫君
                   金子恵美
                   木下 誠君
                   飯田哲史君
                   片山一歩君
                   辻 淳子君
                   西川ひろじ君
                   山本智子
                   山田正和君
                   井上 浩君
                   尾上康雄君
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※以下議事録は大阪市会(市議会)のウェブページ(http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/)の会議録検索から取得し、抜粋・着色加工。

 

◎上平健康局長 それでは、健康局関係の提出案件につきまして御説明申し上げます。

 当局が提出させていただいております案件は、大阪市立環境科学研究所の地方独立行政法人化に関連いたします条例等についてでございます。

 まず、議案第230号、大阪市立環境科学研究所条例を廃止する条例案でございますが、これは本年2月の市会におきまして否決されたものでございますが、昨年我が国におきましては約70年ぶりにデング熱の国内感染症例が確認され、またエボラ出血熱の感染が疑われる事態や、最近では感染が拡大した中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの流行が韓国で見られるなど、新たな健康危機事象が発生しております。
 国際的に人や物が大量かつ短時間に移動が可能となってきている現在、このような新たな感染症や大規模な食中毒等の広域的な健康危機事象がいつ発生してもおかしくない状況がますます高まってきており、公衆衛生の科学的かつ技術的な中核を担う地方衛生研究所の機能強化がより一層重要になってきております。

 本市におきましても、環境科学研究所を大阪府立公衆衛生研究所と統合し、府市共同設立による地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所を設立することにより、健康危機事象発生時の迅速かつ正確な対応、機動的かつ効率的な研究所の運営など、機能強化を図っていく必要があると考えており、環境科学研究所条例の廃止につきまして、改めて市会の御判断を仰ぐものでございます。

 次に、議案第231号、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案でございますが、環境科学研究所条例を廃止する条例案とともに本年2月の市会におきまして否決されておりますが、環境科学研究所の廃止に関連しまして、地方独立行政法人法の規定に基づき、本市から地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所へ引き継ぐ職員の範囲を定める条例を制定するものでございます。
 以上、健康局関係の提出案件について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。

 

○高野伸生委員長 説明は以上であります。
 質疑なり意見のある方はお願いいたします。

 

金子恵美委員 大阪維新の会の金子です。よろしくお願いいたします。

 私は、市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合、独法化について質疑いたします。

 市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合、地方独立行政法人化に係る関連議案として上程された議案第230号、大阪市立環境科学研究所条例を廃止する条例案及び議案第231号、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案について伺います。

 市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合、独法化については、平成25年3月に府と市で共同して設置する地方独立行政法人の定款そして評価委員会共同設置協議案が大阪市会で可決されたが、その後設置のために必要な関連5議案は昨年12月に否決され、ことしの2月にそのうちまず通さなければここから一歩も進めない2議案である廃止条例案と職員引き継ぎ条例案が再提案されましたが、再度否決されております。
 今回また同じ内容の議案を改めて提案された理由は何かお伺いいたします。

 

◎宇田健康局環境科学研究所管理課長兼独立行政法人化担当課長 お答えいたします。
 昨今市民の健康、生命を脅かす危機的な事象が頻発しており、公衆衛生の科学的かつ技術的中核を担う地方衛生研究所の機能を高めることが喫緊の課題であると認識しております。例えば、昨年度70年ぶりにデング熱の国内感染が発見されました。また、海外では、西アフリカを中心とするエボラ出血熱が爆発的に流行し、さらにことしになってもお隣の中国、韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスが流行し、国内への感染防止に向け感染の疑いのある海外からの帰国者への対策など、緊迫した状況がございました。

 近年海外との人の移動が劇的に増加しており、海外から新型感染症が国内に持ち込まれる可能性も高まっております。市民の健康や衛生を確保し、増進する責務を担う健康局として、こうした憂慮すべき健康危機事象に対して市立環境科学研究所をさらに機能強化する必要があると判断し、府立公衆衛生研究所との統合、地方独立行政法人化を進めるため、関連議案を提出した次第でございます。以上でございます。

 

金子恵美委員 ただいまの答弁では、市民の健康や命を守る責任をしっかりと果たしていくために、市立環境科学研究所の機能強化がこれまでにも増して求められる切迫した状況にあり、今回議案を提出したとのことであります。

 ただ、この市立環境科学研究所の機能強化が急がれることはもちろんのことでございますが、やはり今回の議案提出は統合、独法化がさきにも述べましたように、途中の段階で頓挫しているという現状があるからではないでしょうか。これまでの審議経過を見ますと、府議会では関連する議案の全てが可決成立している一方、大阪市会では平成25年3月に独立行政法人の定款、そして評価委員会共同設置協議案が可決、これは統合と独法化のメリットを理解された上でそもそも可決されたはずでありますが、残りの関連議案は否決され、遅々として進んでいない。そこで、25年3月に可決した時点で、確かにこの市会でも得たはずの共通認識たる二重行政の解消を前に進めたいという強い思いから、改めて提案されたと理解しております。
 そこで、機能強化の具体的な内容といたしまして、2つの研究所を統合し、地方独立行政法人化する効果は何なのか、改めてお伺いいたします。

 

◎宇田健康局環境科学研究所管理課長兼独立行政法人化担当課長 お答えいたします。
 二つの研究所を統合する効果といたしましては、まず統合によって全国最大規模の東京都健康安全研究センターに匹敵する規模と機能を持つ研究所が誕生することで、そのスケールメリットを生かして大規模な感染症、食中毒が発生した場合にその原因を探知し、封じ込めるため、統合により倍増する研究員を集中的に投入し、初動体制を素早く構築することができることが大きいと考えております。

 また、微生物部門の層が厚い公衆衛生研究所と栄養機能性食品等の理化学部門に特徴のある環境科学研究所のお互いの強みを生かした研究機能の強化が期待されるとともに、運営形態が地方独立行政法人となることにより事業運営、財務、人事労務面で弾力的かつ効率的な運営が可能となることや、大阪市域という行政区域にとらわれない研究調査や、企業等との積極的な共同研究も弾力的に行えるなどのメリットがあると考えております。以上でございます。

 

金子恵美委員 ありがとうございます。
 両研究所の統合と独法化によって、さまざまなメリットがあるとの御説明をいただきましたが、裏を返せば、統合しない現状では同じ研究をしていてもスケールが小さいために、自治体の範囲を超えた関西の主導的立場に立つ研究所としての機能は期待できないということ、そしてまた独法化せず現行の直営組織のままでは、例えば年度途中での共同研究の委託など、緊急対応の予算の組み替えができない、高度分析機器の購入のために年度をまたいでの予算化ができない、企業、大学などとの人事交流や短期の要請に応える任期つき研究員を機動的に採用することができない、行政区域外からの検査受託は原則対象外となるなど、迅速かつ柔軟な対応ができないという問題があるということであり、それを解決できる両研究所の統合、独法化を目指すのが至極当然のことではないでしょうか。
 このように、市民の健康と安全を守るために研究所のさらなる機能強化をしようとする統合、独法化になぜ反対するのか、私には全く理解ができません。また、本議案は、橋下市長が第1回大阪戦略調整会議の議題としても、資料7として準備しておられたんです。ただ、御承知のとおり、大阪戦略調整会議ではいまだ議論に至っていないのが現状です。その点も踏まえまして、本議案を再提出された理由、そして何よりも提案者としての市長のお考えをお伺いいたします。

 

◎橋下市長 市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合は、大阪市民の安心・安全を守るために必要不可欠だから、再度提案をしました。
 いろいろ担当局のほうから細かな効果、メリット、述べたかと思いますけれども、我々公選職、政治家としては、僕はこの1点に尽きると思うんです。大都市大阪の市民の安心・安全、特に新型の感染症について、この市民の安心・安全を守ろうと思ったときに、大阪市内だけを見ていていいのかってことです。大阪市の境界に壁があるわけでもなく、何かバリアがあるわけでもないんです。感染症対策をやるときに、市会議員は何でこの大阪市内のことばかり見ているのかさっぱりわかりません。都市としては、大阪府域でも一体化しているわけです。関西国際空港から感染症が入ってきた場合に、どこでどのように対応しなければいけないかというと、大阪府域全体でしっかりと対策を講じてこそ初めて大阪市民の安心・安全が守られるわけです。
 どうもこれまでの議論を聞いていますと、大阪市議会議員、維新の会以外の市議会議員は大阪市の境界に本当にバリアか壁があるかのような、何かそんな議論をしていて、本当におかしくてなりません。
 もう一つは、4年間大阪市長をさせてもらいましたけども、市議会でこういう議論、僕を呼んできちっと深い議論をしていません。最終的に否決で終わってしまうわけなんです。ですから、市議会議員として考えなければいけないのは、この感染症対策というものを考えたときに、大阪市民の安心・安全を守るときには大阪府域全体でしっかりと対策を講じることが大阪市民の安心・安全につながるのか、それとも大阪市内のことだけを考えたらいいのか、本当にここだけです。あと細かなメリット論というのは担当局が述べたとおりであります。人事の問題、予算の問題というのは担当局が述べたところです。
 この統合問題について、僕は直接反対する議員から議論を持ちかけられたことがありませんので、反対する人の反対理由、全くわからないんです。さんざんこれまでメリットについては僕も述べてきました。反対する人たちはなぜ反対なのか、メリットが見えないと、それだけなんです。デメリットぐらいは言ってもらわなきゃいけないですね、統合した場合のデメリット。
 そこで上げられるのが、ちょっと聞いたところでは、僕は市議会に余り呼ばれないので、聞いたところでは、一つは大阪市の研究所がなくなってしまう。とんでもないですね。府市共同設置なので、別に大阪市の研究所がなくなるわけでも何でもないんです。

 それからもう一つは、これはちょっと理由はあるのかなと思ったんですが、この市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所を統合すると、環境部門の研究といいますか、そういう環境部門について対応する部署がなくなると。確かにそれはそうなんです。ただ、そこは大阪市の環境局のほうにしっかり環境部門を設けるということも答弁させてもらってますので、そうなりますと、統合について反対する理由は全くありません。だから、デメリットを言ってもらいたいんです。何がデメリットなのか。メリットはもうさんざん言っています。
 もっと大きな話をすれば、繰り返し言いますけれども、感染症において大阪市民の安心・安全をしっかり守っていこうと思えば、これは大阪府域全体でしっかり守っていく。東京都はそのような体制で、先ほども答弁しましたけれども、全国最大規模の東京都健康安全研究センター、こういうもので東京都民の安心・安全を守ってるんですが、今回の統合案件が成立しますと、この東京都健康安全研究センターに匹敵するような、そういう機関ができますので、これこそまさに大阪府民、大阪市民の安心・安全につながる話になるので、今回も再度提案をさせてもらいました。
 もう一つは、手続的な面なんですけれども、同じ案件を出すのはおかしいという意見もあるんですが、これのほうがおかしいです。といいますのは、市議会の構成は選挙によって変わりました。人数は若干の変動かもわかりませんが、議員自体はかなり大幅に変わっているわけです。ですから、選挙を踏まえて議会が変わったんであれば、そこでもう一度審議してもらうというのは、これは当然のことです。一度出したものを二度出すなというのは、未来永劫同じ議員でずっと審議してるということを前提にしてるような、本当におかしな話です。
 そして、重要なことは、5月17日の大阪都構想住民投票の結果を受けて、大阪戦略調整会議ですか、ちょっと正式名わかりませんが、いわゆる大阪会議というものが発足して、こういう府議会、市議会なんかでうまく調整ができない案件については大阪会議できちっと議論しましょうとなったわけです。今回の案件は、議員が先ほども言われていましたけれども、統合案件については、大阪府議会ではこれは可決されています。そして大阪市議会では否決。自民党民主党公明党共産党で、同じ党の中で賛成、反対が府議会、市議会と分かれているんです。だから、こういう問題こそ大阪会議できちっと調整をしてもらいたいんですが、どうも大阪会議ではこの統合案件、議題にすら上げようとはしておりません。もう大阪会議なんていうのは全く機能していません。
 大阪会議で議論しながら、そして大阪府議会、大阪市議会でも議論をして、全体を調整していくというのが大阪会議のもともとの発想なわけですから、さきの統一地方選挙で議員の構成が変わり、議員の人員が変わり、そして大阪会議が発足した以上はしっかり府議会、市議会でこの統合案件も上げて、そして大阪会議でも議論をして、そしてきちっと自民党民主党公明党共産党にこの党内の不一致を調整してもらって結論を出してもらいたいという思いで今回この統合案件、本議案を再提出、僕は再という言葉は使いたくないんです。議会が変わったんですから、僕にとってはこれは第1回目の提案だと思ってますから、今回提案をさせてもらったところであります。

 

金子恵美委員 市長、ありがとうございました。
 ここでもう一つだけ確認しておきたいことがございます。それは、この両研究所の統合による効果を高めるために、施設の統合が必要と考えているんです。これはもう不可欠だと思っております。聞くところによると、府立公衆衛生研究所は建築後50年を経過し、近隣の健康科学センター内に平成30年度末の移転完了を目指して、現在基本設計中とのことであります。一旦移転してしまえば改めて施設統合に経費をかけることはハードルが高くなり、その実現は将来に遠のくことになります。非常に難しくなるということになります。また、両研究所の統合については、一定の効果額が見込まれているのでありますから、大切な税金を預かる私たち市議会としましては、その税金を無駄にしないためにも、市民のために早期に実現したいと考えております。
 これまで我が会派は、今市長もおっしゃったように、両研究所の統合についてさまざまな観点から質疑を行い、多様なメリットがあることを明らかにしてきましたが、関連議案の成立に至っていないのが現状です。知事、市長という2人のリーダーが実現に向け同じ方向にある今こそ、成立に向けて原点に立った議論をお願いしたいと思います。
 そして、これらは、市長も先ほど5月17日の都構想の否決ということを少しおっしゃいましたけれども、都構想が実現すればすんなりと二重行政というこの統合は解決するんです。ただ、我々維新以外の皆さん、話し合いで解決できるとおっしゃったんです。ぜひ有言実行していただきたい。話し合いで解決できるとおっしゃった大阪戦略調整会議では、先ほど市長もおっしゃったように、なかなか話し合い自体ができてないです。機能してないということなんです。ぜひこの市会で話し合いで解決させてください。この議案に限っては、何度も申しますが、もう府議会では可決されているわけですから、市会の先生方の御英断により即解決を見るものなんです。何とぞよろしくお願い申し上げて、私の質疑、終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

◆西川ひろじ委員 自民党の西川ひろじでございます。

 私からも大阪市立環境科学研究所の問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 思い起こしましたら、平成23年12月、第1回府市統合本部会議において、いわゆる二重行政だと。たしかB項目で登録をされたところでございますが、そして翌年の24年6月には府立公衆衛生研究所と機能統合した研究所を設立すること、その年の9月には経営形態を地方行政法人として、その設立時期は平成26年4月とする、同じく府市統合本部会議というやつで決定をしてるんですけれども、橋下市長さんが誕生してすぐの府市統合本部会議からわずか半年で、公衆衛生研究所と統合して独法化すると。そしてその3カ月後にはいつまでにやるんだということを決めてるんです。これ、拙速のきわみだというふうに御指摘を申し上げたい。辞書で引いてみてください、拙速、急ぐ余りできが悪いというふうに書いてございます。まさにそのとおりやというふうに思うんです。
 市長、自分でも言うてはりましたけど、私、急に決めるからというところがあるからというのはテレビでも何度も言うてはりますけれども、拙速過ぎるというふうに御指摘をしておきます。
 本日の委員会に臨むに当たって、今までの市会議事録を読ませていただきましたが、我が会派の先輩方はもとより、多くの委員の先生方から御意見がございました。統合、独法化の一方的なメリットばかり押しつけても意味はない。なぜそんなに急ぐ必要があるのか。大阪市解体ありきの考え方はおかしいんじゃないか。大阪市民、大阪で活躍する人々の安心・安全について真剣に考えているのか、議論は尽くされたのか、環境部門を切り捨てるのかなどなど、各委員の先生方よりまことに当を得た疑問で埋め尽くされておりました。その結果、関連議案について2回否決されております。当然かなというふうに思っております。

 それでは、また議題に上げていただきました環境科学研究所の統合、独法化についてお尋ねいたしますが、大阪市解体は本年5月の住民投票で否決され、統合や独法化を決定した府市統合本部会議は消えてなくなった今、性懲りもなく同じ内容の議案を提出されていますが、今回で3回目であります。
 このような状況において、府市研究所の統合、独法化を急ぐ必要があるのかもう一度お聞きしたいと思います。

 

◎宇田健康局環境科学研究所管理課長兼独立行政法人化担当課長 お答えいたします。
 今回の議案については、昨年12月、本年2月の市会におきまして否決されたものでありますが、昨年我が国におきましては約70年ぶりにデング熱の国内感染症例が確認され、またエボラ出血熱の感染が疑われる事態や、最近では感染が拡大した中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの流行が韓国で見られるなど、新たな健康危機事象が発生しております。国際的に人や物が大量かつ短時間に移動が可能となってきている現在、このような新たな感染症や大規模な食中毒等の広域的な健康危機事象がいつ発生してもおかしくない状況がますます高まってきており、公衆衛生の科学的かつ技術的な中核を担う地方衛生研究所の機能強化がより一層重要になってきております。

 本市におきましても、環境科学研究所、大阪府立公衆衛生研究所と統合し、府市共同設立による地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所を設立することにより、健康危機事象発生時の迅速かつ正確な対応、機動的かつ効率的な研究所の運営など、機能強化を図っていく必要があると考えており、市会の御判断を仰ぐものでございます。以上でございます。

 

◆西川ひろじ委員 最初に局長さんからも御説明ございました広域的な健康危機がいつ発生してもおかしくない状況が高まっていること、健康危機事象への迅速かつ正確な対応の必要性については同じ認識でございます。
 そしてもう一方、O-157による大規模集団食中毒事件、雪印集団食中毒事件、新型インフルエンザの発生に対する対策など、このような健康危機事象について、これまでも府市連携及び協力によって対応されていたというふうに聞いております。
 両研究所を統合することなく府市連携をさらに強化し充実することによって、不測の事態により迅速かつ正確な対応ができるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。今回研究所の統合によってどのように迅速かつ正確に健康危機事象へ対処するのかお聞きしたいというふうに思います。

 

◎宇田健康局環境科学研究所管理課長兼独立行政法人化担当課長 お答えいたします。
 健康危機事象発生時には、統合のスケールメリットを生かして健康危機事象の探知、封じ込めのための初動体制を今まで以上に構築することが可能となり、連携を上回るメリットがございます。例えば、統合により研究員が倍増することから、健康危機事象発生時に集中的に研究員を投入することが可能となります。また、研究員の層が厚くなり、医学、薬学、農学、工学、理学などさまざまな専門分野からの多角的検討により、健康危機事象の原因究明が正確かつ迅速に行えるようになります。以上でございます。

 

◆西川ひろじ委員 今のようなお答えの一方的なメリットについてはこれまでにも何度も聞いておりまして、環境科学研究所を廃止するということは、政令指定都市である大阪市の保健衛生行政の科学的かつ技術的な中核を担う研究所を失うということなんですよね。本当にそれでいいんですか。物すごく心配をしております。

 大阪市は多くの会社や事業所があり、飲食店や商業施設なども集中しており、昼間の市外からの流入人口が大変多いため、大都市固有の課題を抱えております。それだけ保健衛生行政の責任は他都市に比べて一層大きいものでございます。こうした重要な役割を担う環境科学研究所が廃止されることになれば、本当に大阪市の保健衛生行政は大丈夫なのか。また、大阪市民や大阪で活躍される方々の安心・安全を守ることができるのか。もう一度お答えください。

 

◎宇田健康局環境科学研究所管理課長兼独立行政法人化担当課長 お答えいたします。
 新しく大阪府市で共同設置する地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所は大阪府の地方衛生研究所であり、大阪市の地方衛生研究所でもございます。大阪市の健康衛生部局等からの調査研究、各種検査の依頼にこれまでと変わりなく対応することができます。また、健康危機事象が発生した場合には、統合、独立行政法人化後もこれまでと同様に府市及び関係機関と連携を図りながら、倍増する研究員を重点的に投入して原因を特定し、迅速な対処が可能となり、市民の安心・安全を脅かす健康危機事象に速やかに対応することができます。以上でございます。

 

◆西川ひろじ委員 公衆衛生研究所との統合、独立行政法人化について、5月の住民投票で都構想が否決された今、政令指定都市である大阪市存続を前提に考えるべき、そんなふうに思います。統合ではなく、両研究所の連携をこれまで以上に強化、充実し、両研究所の機能強化を図ることが重要でございます。
 大阪市は、大都市の特性を十分に踏まえて市民の健康と安全に対する対策を責任を持って行う必要があるというふうに考えます。最近政令指定都市になられた都市も含めて、20の政令指定都市では全て地方衛生研究所を設置しているところであります。これはそれぞれの政令市が抱える固有課題も含めて、市民の健康を守る責任を行政部署と研究所が一体となって取り組む必要があるということを示されているというふうに思っております。

 大阪市がある限り、政令指定都市として責任を持って保健衛生行政を行っていく必要があり、行政と一体となって運営できる環境科学研究所は不可欠である、絶対に必要ではないかなということを申し上げて、質問を終わります。

 

◆山田正和委員 公明党の山田正和でございます。

 私からも議案第230号、第231号の環境科学研究所廃止条例関連案件について意見表明をさせていただきます。

 まず、今回の環境科学研究所の廃止条例と職員の引き継ぎ条例につきましては、昨年12月及び本年2月に上程され、否決されたものでございます。それまでの間、環境科学研究所の統合、法人化は議論を重ねてきておりまして、今回の議案の提案内容が何も変わらないということであれば、あえて議論をする必要はないというふうに思います。
 ただ、否決する理由を明確にしておくために何点か述べておきたいと思います。

 二重行政という点なんですけれども、この基礎自治体の衛生研究所である環境科学研究所は大阪市内の行政検査を行い、広域行政の衛生研究所である公衆衛生研究所は、政令市を除く大阪府下の中核市の保健所や府立保健所が対応できない検査を二次的に行うなど、府市研究所の役割はエリアにおいて分かれています。
 基礎自治体の衛生研究所である環科研は、大阪市各部局から日常の試験、検査、調査研究の依頼を受けるとともに、原因究明のための高度の検査も行う研究所でありまして、さらに市民や事業者から直接依頼を受けるという一般窓口も開設しておりまして、いわば現場直結型の研究所です。一方、広域行政の衛生研究所である公衆衛生研究所は、大阪府下という広域の公衆衛生を守備範囲として、検査、研究を行う広域型の研究所であるということで、この両研究所の立場や機能の違いが検査、研究の特徴となっているということから、両研究所の役割は明確に分かれておりまして、二重行政というものではないというふうに言えます。
 あと、今後なんですけれども、この研究所の強みを生かし、大阪市として充実、発展させる方向性ということで、基礎自治体の研究所として培ってきた役割と機能をさらに充実させ、今後も大阪市内の行政現場と直結した課題について一体的に取り組んでいく必要があります。例えば、大阪市において、ここは結核罹患率が他都市より高いということでありますので、その原因究明と対策は重要な課題であることから、環科研においては調査研究に取り組んできた結果、結核菌の遺伝子レベルである解析法も先駆的に取り組んで、そういう成果としてつながっているということでございます。
 このように、市民に身近な課題を取り扱う現場直結型の研究所として今後も発展させる必要がございます。
 また、今後のあるべき姿としても、市民の健康にかかわる身近な課題は保健と健康分野、両方にまたがることも多く、例えばアレルギーの問題では大気環境、食生活、日常生活でのさまざまな化学物質暴露などいろんな要因が絡んでおり、個別専門分野のアプローチでは実態の解明はできないということで、これらの課題を総合的に対応することが基礎自治体の研究所に求められる機能でもあります。環科研は衛生研究所と環境研究所の機能をあわせ持つことが強みということになっておりまして、研究分野の機能を切り離すことなく衛生分野と一体となって対応していく機能を維持し、充実させる必要があります。
 府市研究所の今後のあり方についてなんですけれども、やはりさっきも言いましたように、環科研は基礎自治体の研究所として役割を十分果たしていただく、そして健康危機事象発生時には迅速かつ強力に初動体制を構築するなど、広域行政の機能を有する公衆衛生研究所と広範囲の連携に取り組んで、両研究所のさらなる連携強化を図っていくべきであるということをこれまで述べさせていただきました。
 結局のところ、前回の上程から変更点は今回何もないということがございます。局長から先ほど改めて御判断いただきたいということで御説明がございましたけれども、改めて出したところで、議会の気がひょっとして変わっているんちゃうかなということはございません。議会で否決されたものを何の変更もなしに出してくるということが、ちょっと私考えがわからないんですけれども、先ほど市長の答弁でもございました。議会の構成が変わったから出してくるということでしたけれども、当然出してこられるのはいいと思います。ただ、逆に、我々の考え方が変わるのもおかしな話でありまして、中身が変わってないのでありますから。結局は、先ほどもいろんなやりとりがございましたけれども、政局に結びつけるためのものじゃないかなと、そういうふうに思わざるを得ないのかなというふうに思います。
 そういう意味において、本当にこれから一つ一つの案件に関して前向きに検討していかなければならないこの大阪市の状況の中で、こういった姿勢では本当に前向きな検討はできないんじゃないかなというふうに思うんです。
 よって、さきに述べました理由もございますけれども、今回の案件に対しては何ら中身が変わってないということでございますので、当然本案件に対しては反対であるということを申し上げまして、我が会派としての意見表明とさせていただきます。

 

◆井上浩委員 日本共産党の井上でございます。
 私も環科研の問題について、まず質疑をさせていただきたいと思います。
 先ほど市長から御答弁がありましたけれども、何で否決されたのかということを真摯に受けとめるべきではないかなと、その検証が全くないんではないかという率直な思いがしております。
 まず、そもそもの環科研の設置目的や意義、これまで果たしてきた役割や実績についてお伺いしたいと思います。

 

◎西谷健康局環境科学研究所調査研究課長兼業務統合担当課長 お答えいたします。

 環境科学研究所は、衛生研究所と環境研究所の機能をあわせ持つ大阪市の検査、研究機関として、市民の生活環境の保全を図り、健康の維持、増進及び公衆衛生の向上に取り組んできております。具体的には、日常的な感染症や食品に関する検査に加えて、例えば中国産冷凍ギョーザの農薬中毒事件においてその原因と汚染経路の特定を行うなど、健康危機事象の発生時にはその原因究明のための分析も行っております。また、大阪市における課題ともなっている結核対策に関しては、感染経路を調査するための新たな遺伝子解析手法の導入をいち早く手がけるなど、先駆けとなる研究も行っております。大気環境で問題となっているPM2.5については、国の研究機関と連携して、発生原因の特定につながる手法の開発研究も行っておるところです。
 このように、保健衛生、環境の分野にわたって市民の疾病予防や食生活の向上を図り、環境問題の原因究明や対策について、科学的視点から大阪市行政の一翼を担ってきたところであります。以上でございます。

 

◆井上浩委員 機能強化をするためだということも先ほど来御答弁があるわけなんですけれども、ほかのテーマでも機能強化のためだと、特に病院問題では直接市長とも何度も議論させていただきましたので、機能強化をするために2つを1つにするんだと。
 私はその考え方自体が誤りだと思っておりまして、今御答弁にありましたように、今日的な情勢に鑑みれば、公衆衛生あるいは健康にかかわる事象というものについては、それぞれの機能強化が求められているわけでありまして、今日的な課題です。ですから、統合して機能強化をするという根拠は何もないわけでありまして、私はどちらも機能強化を図るべきだというふうに考えているところでございます。
 府と市の研究所は、府域、市域ですみ分けがきっちりとできているはずであります。これまでも健康危機時に連携しながら対処できていたのではないかと思います。府市の研究所が2つあることで相乗効果や強みがあると思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

 

◎宇田健康局環境科学研究所管理課長兼独立行政法人化担当課長 お答えいたします。

 府市の研究所にはそれぞれ強みがございます。府立公衆衛生研究所は微生物部門の層が厚く、市立環境科学研究所は栄養機能性食品等の理化学部門に特徴がございます。
 両研究所の統合によって、こうしたお互いの強みがプラスされるだけでなく、今までにない新たな分野でも強みを発揮することが可能となります。両研究所の統合は連携を超える効果があると考えております。以上でございます。

 

◆井上浩委員 私、この環科研の100周年記念誌を拝見いたしました。研究所のあらましというところに、大阪市行政の一翼を科学的裏づけの面で担っていますというふうな一文がございます。まさにそのとおりです。
 御挨拶というところに、關元市長の御挨拶が載っております。災害や感染症の発生など、不測の事態に迅速かつ的確に対応し、市民の生命、身体、財産を守ることは地方自治体の最も重要な責務であり、大阪市では市民が安心できる快適で住みよい魅力的な環境先進都市の実現を目指していると。今後とも保健環境行政を初めさまざまな施策に力を注いでまいりたいというふうにございます。全く同感でございまして、この重要な責務、地方自治体としての重要な責務を担っているわけなんですけれども、これは統合してしまうことによって十分対応できるんでしょうか、市民の安全・安心そして健康を守り、増進させるという点で、本当にこれ十分対応できるんでしょうか、お答えください。

 

◎宇田健康局環境科学研究所管理課長兼独立行政法人化担当課長 お答えいたします。
 新型感染症の流行や大規模食中毒の発生など、健康危機事象発生時には健康危機事象の探知、封じ込めのための初動体制として、統合により倍増する研究員を集中的に投入することが可能となり、また層の厚くなった多様な専門分野の研究員が多角的に検討することにより、健康危機事象の原因究明を正確かつ迅速に行えるようになります。以上でございます。

 

○高野伸生委員長 協議会を閉じ、これより委員会を再開いたします。
 これより採決に入ります。
 ただいま議題となっております付託案件4件のうち、まず議案第230号及び議案第231号の2件を一括して問題とし、起立により採決いたします。
 ただいま問題といたしました議案2件については、いずれも原案どおり可決すべきものと決することに賛成の方は御起立願います。
     (賛成者起立)

○高野伸生委員長 少数であります。よって、議案第230号及び議案第231号については、いずれも否決すべきものと決しました。