環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

感染症の爆発的拡大(パンデミック)に大阪が対応できなかったとき、誰が責任を取るの?

今回は、「独法化はいろんな機関がやっている、だから地方衛生研究所は独法化して大丈夫」キャンペーン(といっても一部の維新の議員ですが)に、反論します。

 

 まず、そのキャンペーンでは全く触れられていない事実として、現在、日本全国で、どの自治体の「地方衛生研究所」も、国の「国立感染症研究所」も、独法化はされていないです。

キャンペーンしてる議員は、このことに見解を出すべきです。名前がちょっと似てる他の独法機関を出したりして、それ、わざとやろなと思うのですが。自分の公衆衛生哲学など全くないんでしょうね、なにせ「さくっとリストラ」ですからね。

※「さくっとリストラ」については過去に記事をご覧ください。

府市統合本部での暴論(「とにかく」「さくっと」統合独法) - 環科研・公衛研守れ@大阪

さて次に、なぜ独法化しないのか、ですが。

国は、「国立感染症研究所は、感染症に係る国の重大な危機管理に直結する業務を行っているため、独立行政法人化していない」(秋葉・厚生労働副大臣答弁(2013(H25)年5月9日))と言っています。

つい3日前のニュースでも。

アメリカなどの専門家のグループは、新型インフルエンザなど新たな感染症が今後世界的に大流行した場合、7兆円を超える経済的な損失が出るおそれがあるとする試算を発表し、各国に対して公衆衛生の対策への投資を強化するよう呼びかけています。
 
人口の増加や交通網の発達によって、新型インフルエンザやエボラ出血熱などの感染症が世界に与える脅威は高まっている。

事態を未然に防ぐため、世界の国々に年間45億ドル(日本円で5000億円)を投資して、公衆衛生の対策を強化することや、WHO=世界保健機関に緊急事態に対応する施設を常設するなど、体制の整備を推し進めるべきだと指摘しています。
(2016年1月14日NHKニュース)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160114/k10010371121000.html

 

時代の流れとしては、
公衆衛生が軽んじられたままグローバル化が急速に進んだ世界において、パンデミック(世界的・爆発的な感染の拡大)などの警鐘を鳴らし、むしろ公衆衛生の強化をうったえているのが、科学者の当たり前の意見です。そこにおいて、右も左もない。

人の命、人類の存続の問題。

その公衆衛生の核となるのが地方衛生研究所です、だから、国も、どの自治体も、独法化はしていないし、逆に体制強化が課題になっている。それが国際標準、全国標準。

それを大阪においては、「大阪市解体」の試みのために、地方衛生研究所(環科研・公衛研)のリストラ、という愚行をやろうとしている。

そんな統合・独法化は許せません。しかも「機能強化」とウソをついて、住民をだましているなんて、絶対許せません。

 ※「機能強化」がウソ、については過去の記事をご覧ください。

大阪市議会(10月2日)ーー大阪市と維新会派のウソ - 環科研・公衛研守れ@大阪

 

地方衛生研究所に関する国会答弁など、以下もう少し書きます。

 地方衛生研究所は、国立感染研とのネットワークの中で、最前線で国の重大な危機管理に直結する業務を行ってきました(流行状況を調査し、検体から病原体を特定など)。

1970年代 コレラ

1980年代 AIDS

1990年代 O157

2000年代 鳥インフルエンザ新型インフルエンザ

 

厚生労働省は、この地方衛生研究所の強化を求めています。

◎地域保健対策の推進に関する基本的な指針の一部を改正する件(平成24年厚生労働省告示第464号)

地方衛生研究所を設置する地方公共団体は、強毒性の新型インフルエンザ等の感染症の発生や広域化する食中毒の発生等に備えたサーベイランス機能の強化や迅速な検査体制の確立と検査精度の向上が求められていることを踏まえ、地域における科学的かつ技術的に中核となる機関として地方衛生研究所の機能の一層の充実強化を図ること。

 

また、大阪での統合・独法化の動きに対して、国会でも懸念が出され、次のような答弁が出されています。

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■秋葉・厚生労働副大臣答弁(2013(H25)年5月9日)

国立感染症研究所は、重篤な感染症が発生した場合の診断、あるいは治療や検査の方法などの開発、疫学調査を行うなど、国の重大な危機管理に直結する業務を行っておりますことから、独法化をしておりません。そもそも平成9年の行財政改革の中で出された答申のなかでもやはり災害の問題、いわゆるこういった国民の生命に関わる分野については、例外規定のような報告書が出ているところでございまして、そういった取り組みをしている」(第183回国会 総務委員会)

 

江崎孝参議院議員の「地方衛生研究所の地方独立行政法人化に関する質問」に対する国の答弁書(2013(H25)6月25日)

国立感染症研究所は、感染症に係る国の重大な危機管理に直結する業務を行っているため、独立行政法人化していないものである。

・地方衛生研究所は、地域保健対策における科学的かつ技術的な中核となる機関として、調査研究や試験検査などの業務を通じ、公衆衛生の向上に重要な役割を果たしているが、個々の地方衛生研究所の業務が地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないものであるかどうかについては、・・一概にお答えすることは困難である。

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「重大な危機管理に直結する業務は独法化しない」

常識的に考えて、あたりまえのことです。国民の命にかかわることだからです。

秋葉副大臣の答弁に出てくる「平成9年の行財政改革の中で出された答申」とは、次の報告のことで、はっきり、重大な危機管理に直結する業務は、独法化してはならないとあります。

 

行政改革会議最終報告(平成9年12月3日)(2) 独立行政法人の創設>

 (注)国が自ら主体となって直接実施しなければならない事務・事業 

○私人の権利義務に直接かつ強度の制限等を及ぼす公権力の行使に当たる事務・事業

○その性質上、国が自らの名において行うのでなければ成立しない事務・事業

○災害等国の重大な危機管理に直結し、直接国の責任において実施することが必要な事務・事業

 

しかし、いっぽうで、国は地方については「一概にお答えすることは困難」としています。明らかに、橋下維新に遠慮し、地方が決めることを否定できないという意味です。

実際は、「国立感染研」は、「地衛研」からの情報が不可欠です。国立感染研も地衛研も、国や地方自治体の重大な危機管理に直結する業務にあたっており、独法化してはならないというのが従来の常識です。

これを大阪の単独判断で、やめてしまうというのが今回の統合・独法化なのです。

これに賛成する議員さんたちは、本当にわかってやってるんですか?責任とれるんですか?

 

「正確に積み重ねたデータと研究、そして黙々と市民の生活・安心・健康を守ろうとするその蓄積というのは、失ってしまえばもう二度と取り返すこともできない。」(大阪市議会。2014(H26)年12月17日 石原信幸議員(公明党

 

まったくその通りで、二度と取り返すことはできないのです。

維新以外の党のみなさん、こんな破壊的な統合・独法化には断固反対を!

 

蛇足ですが、「独法化はいろんな機関がやってる、だから地方衛生研究所は独法化しても大丈夫」キャンペーンで印象操作ばかりやってるのは橋下維新の議員で、現役時代にろくに働かなかったと自ら自慢してる元大阪府職員(税金返せ!)なのですが。その議員のことはまたヒマなときにでも記事にできればと思います。