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環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

公明党との修正協議をして合意したいなら、最低ラインがある(たった7日はありえない)

昨日(2月22日)の大阪市議会・民生保健委員会の真相が読売新聞によって明らかにされました。「自民、公明に反対が強かったため、吉村市長は22日、公明党市議団幹部に会い、議案の修正などを行うと伝えた」 ということです。ほんと、おかしなことやってますね。

わかったことがあります。吉村市長は、市民のための公衆衛生を政局の道具にしたために、逆に追い込まれているということです。

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本来、事前報道のとおり、22日の民生保健委員会では、4回目の否決が予定されていたといました。吉村市長は、公明党市議団の幹部に、「修正案を出すから何とか今日の否決だけは避けてくれ」と泣きついたのですね。

公明党は、「修正案を見るまで待ってあげましょう」という対応をしたのでしょうか。

しかし、公明党市議団は、これ以上、吉村市長に遠慮してあげる必要はありません。

 

1.維新のウソと無責任な駆け引きはもういらない。市民の手に政治を取り戻そう

私は、吉村市長のこうした姿勢が許せないため、1月からブログとツイッターでの問題提起を始めました。上山信一特別顧問や、維新の井戸議員の無責任な発言から、この統合の本質的問題を明らかにしながらも、2月3日には朝日新聞が「公明が態度を軟化させており、可決の可能性」と報じられ、がけっぷち状態でした。2月7日には毎日新聞が「自民が賛成に転換」と言い、必死に議員さんたちへの訴えをしてきました。これも、市議会の自民、公明を無内容に「抵抗勢力」のように描き出し、外堀を埋めるキャンペーンでした。

しかし、同時に出てきている大学統合(市立大学の廃止)、水道の民営化、地下鉄バスの民営化などへの危機感が広がり、都構想反対の世論の中で、地味な(市民に見えにくい)研究所の問題もはじめて争点にすることができました。感染症や食中毒の原因究明をおこなう機関が統合でリストラされていいのか、問題点が明らかになり、みなさんが広げてくださり、2月20日には同じ朝日新聞が「否決の見通し」と報道するところまで来たのです。まさに市民が押し返したと実感しています。

そして、22日の民生保健委員会での、自民、公明の反対討論は本質的なものでした。

本日(2月22日)、大阪市議会 委員会。採決保留。公明・山田市議の反対討論をピックアップ。 - 環科研・公衛研守れ@大阪

本日(2月22日)、大阪市 議会 委員会。採決保留。自民・西川市議の反対討論 支持します! - 環科研・公衛研守れ@大阪

公明党に「修正協議」をもちかけたのは、吉村市長の巻き返しです。

しかし、だから絶対にあきらめません。政治は知らないところで決まるものではありません。この過程で、おおさか維新の言ってきた「二重行政のムダ」「機能強化する」ということのウソを多くの市民がわかったのです。都構想の住民投票の過程もそうでした。市民が現場職員ともつながることで、ウソを暴き、市民がつながることで必ず政治は取り戻せます。維新の私物、おもちゃの研究所ではなく、市民のための財産として、研究所の強化をつくることができると感じています。

 

2.吉村市長が「公衆衛生のレベルアップ」をまじめに考えるならば、たった7日間で修正はありえない。「定款」の修正が修正協議の最低ライン。

そもそも、自民、公明が強く反対してきたのは、3回にわたる否決でわかっていたはずです。市長に就任して、なぜ自民、公明と話し合いもせずに、まったく何の修正の検討もせずに、いまさら「修正」などと言うのでしょうか。

事実、上程を決めてから、研究所の現場を視察し、「似たような設備がある」とアピールのために使いました。はじめから結論ありき、自民と公明に「とにかく可決に応じろ」という圧力のためだけでした。

頭にあるのは、自民や公明との駆け引き、政局です。公衆衛生のことなんか、考えていないことがわかります。もうこんな政治はうんざりです。

吉村市長は、 「3月1日までに修正を示す」と言いますが、たった7日間で、どんな修正ができるんでしょうか?まじめに考えたらありえません。拙速でつぎはぎでは、ろくでもない、むしろ有害な修正にしかなりません。たとえ何らかの修正が示されても、数時間の議論で可決するような問題ではありません。

また、今回、議会に上程されているのは、「環境科学研究所設置条例を廃止する」というたった一行の条例です。この一行の言葉の修正はしても意味がありませんので、「修正」と言っているのは、公明党の反対してきた内容に対する本質的な修正にはなりえません。統合の形態を決めているのは、すでに議決されている「定款」です。修正というのであれば、定款そのものの修正まで踏み込むことは最低ラインです

吉村市長は「公衆衛生のレベルアップのため」と言いますが、それをまじめに考えるなら、吉村市長が考えてもこなかった修正を考えるのですから、あらためて、「衛生研究所の機能とは何か、いま何が課題なのか、保健所との連携の強化はどうあるべきか、その解決のためにどのような組織が必要なのか」をゼロベースで検討すべきです。そこからしか、政策は生み出されません。過去の遺物にこだわり、法人化の「定款」が可決されているからと言って、それを前提に考える必要性は一切ありません。 むしろ、過去に独立行政法人化を検討してきた横浜市や、大阪府の検証をもう一度審議の場に出すべきです。もう3年も時間を無駄にしてきたのであり、3年前の「定款」にこだわる方が時間の無駄です。

「定款の修正」に踏み込まず、公明党が問題にしてきた点についてどんな修正があり得るのでしょうか。具体的に述べます。

 

3.環境部門と衛生部門を分割することの修正は可能なのか?

 22日の委員会で、公明党の山田議員は、まず前回(2015年10月2日)での意見表明を再度述べています。

「基礎自治体の環科研と、広域の公衛研が、まず所管がエリアでわかれている点と、現場/広域という機能のちがいが特長。役割は明確にわかれている。その上で市民に身近な現場直結型の環科研であるべきと申した。 衛生と環境を持ち合わせることが強み。切りはなさず、機能充実と述べた。」

この「衛生と環境を持ち合わせる強み」について、前回(2015年10月2日)の議事録を再掲します。

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市民の健康にかかわる身近な課題は保健と健康分野、両方にまたがることも多く、例えばアレルギーの問題では大気環境、食生活、日常生活でのさまざまな化学物質暴露などいろんな要因が絡んでおり、個別専門分野のアプローチでは実態の解明はできないということで、これらの課題を総合的に対応することが基礎自治体の研究所に求められる機能でもあります。環科研は衛生研究所と環境研究所の機能をあわせ持つことが強みということになっておりまして、研究分野の機能を切り離すことなく衛生分野と一体となって対応していく機能を維持し、充実させる必要がある

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産経新聞の報道によると、「大気や水質などの検査業務を市に残す-といった修正案が出ている」とあります。

吉村大阪市長、府市環境系研究所の統合議案を修正へ 自公反対に「理解を得られるよう努力する」 - 産経WEST

しかし、2月22日の委員会でも、大阪市の理事者側は、「環境部門については直営で残すことを説明している。モニタリングや監視は民間委託、民間では難しいPM2.5や光化学オキシダントなど環境基準の超過項目は直」と表明しています。これは修正案でも何でもありません。

可能性として、「モニタリングや監視を直営にする」という案、「検査等を行う場所は研究所内に直営部門を残す」という案が想定されます。

いずれにしても、これでは衛生部門は大阪府と統合し、環境の研究所が分割されるということであり、統合後も2つの研究所が残ることになります。山田議員が指摘してきた「環科研の強み」は、組織が分割されてどうして強化になるでしょうか。また吉村市長の言う「二重行政の解消」ということにもならず無意味です。

山田議員の指摘してきた「環科研の強み」を強化する修正案は、環境部門を含めた統合案への修正など、法人の「定款」の修正に踏み込むことが最低限必要でしょう。

 

4.独立行政法人という経営形態のマイナス面(健康危機管理対応に支障、市長の責任が不明確)は修正可能か?

 この点については、22日の委員会では次の質疑がありました。

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(山田議員):地方衛生研究所で独法化は前例がなく初。改めて、我が会派としても、現場のかたと意見交換した。率直に聞いたのは、設置形態が府市共同なのが課題と。
2つの予算、指揮命令系統がある。 運営の難しさ、調整がうまくできるかの懸念。
 大阪市としての水準の維持、発展がそのような状況で出来るのか、聞きたい。

 市(福田課長): 新研究所では両議会で審議した中期計画目標のもと、役割を維持発展していきたい。 行政権限の根拠となるデータの検査を行うことについては支障がない。

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 山田議員が指摘したのは、独立行政法人を共同設置することの本質的問題です。

地方衛生研究所は、市が答弁したような「データの検査」を行うだけの機関ではありません(まず、このような認識のままでは修正もクソもありません)。新興感染症や食中毒などの遺伝子解析をふくめ、保健所がおこなう疫学調査(疑い患者の権力行使による検査など)を一体で担い、健康危機管理の政策判断の根拠をつくる、健康危機管理対応がメインの機能です。その責任は大阪市長にあります。

したがって、衛生研究所は、何より行政との一体性、連携の強化が最優先です。2016年4月に感染症法が改正され、地方衛生研究所での検査と国への報告は「自治体の責務」と明記されました。法改正にあたった調氏が指摘するように「日ごろからの信頼関係」が重要であり、それぞれの政令市に設置が求められています。

2016年4月感染症法改正について―環科研の統合案(独立行政法人化)は、法改正の意義を理解し、機能強化のための見直しを ※調氏に参考人の意見聴取を要望したい - 環科研・公衛研守れ@大阪

新型インフルエンザ対策など、広域的な感染症対策では、大阪府と大阪市が連携、調整をしながら対策を取る必要があります。そのうえで、衛生研究所は、それぞれの指揮命令に対応する責任が生じ、現場は何を優先にするのか大混乱します。「二重」を問題にするならば、修正すべきは府庁と大阪市保健所の連携の強化策であり、逆に指揮命令に二重性を持ち込んでは逆効果です。

また、法人の定款では「感染症の検査を行う」としていますが、法人化されれば、大阪市側が研究所にこれまでどおり検査を依頼することの規定はありません。費用比較だけで、部分的に民間への外注化が進めば、研究所の技術の蓄積、対応能力は崩壊します。その対策もありません。

そもそも、なぜ全国に80か所、すべての政令市で衛生研究所が設置されているのでしょうか。神奈川県と横浜市も、近くに2つ研究所がありますが、「二重行政」などとは言われません。都道府県にお任せするのではなく、より地域に密着して迅速に検査、究明を行うため、機能強化として自前の研究所が設置されているのです。

1つの感染症や、食中毒について、検査手法を統一し、データ解析を統一的に行うことの効果を言うのであれば、それは直営のまま、連携することで十分可能ですし、すでに実績もあります。大量検体にあたるスケールメリットというのも、直営のまま、すでにある研究所の協定等でも可能です。わざわざ、マイナスが大きい法人化という形態にこだわる理由はありません。感染症法改正という状況変化を踏まえ、あらためて、大阪府知事、大阪市長のそれぞれの責任が果たせる最適な組織を検討すべきです。

 独法化のマイナス面を修正するのであれば、もはや独法化のメリット(行政から切り離し、自律的なマネジメントをすること)はありません。独法化の定款そのものを抜本的に修正することが最低ラインです。

そもそも、「市長の責務」「機能強化」と言いながら、環科研の研究員はすでに大幅に削減され、機能が低下しているのが課題です。独法化は、これまで理事者側が「独法化のメリット」として説明してきたとおり、効率重視のため、流動的職員(非正規)の採用などを容易にするものです。これ以上の専門家集団のリストラは、機能低下でしかありません。

衛生研究所の本当の解決すべき問題ー研究職はすでに58%に削減され、中核市で広域行政は空洞化 - 環科研・公衛研守れ@大阪

山田議員が指摘する通り、「スーパー研究所と、おっしゃっているみたいになるなら、大阪市域、政令市、府域を一元的にどうもっていくのかが本来の筋」であり、あらためて大阪府とすべての政令市、中核市の間で、研究所のあり方を議論していく場をつくることが必要です。吉村市長が「公衆衛生のレベルアップ」と本気で考えるなら、従来の案にこだわって、市議会に可決を迫るのではなく、大阪府と真剣に調整をするべきです。それが吉村市長にできるでしょうか?

 

5.財政面での不安が解消される修正が可能か?

山田議員は、大阪府の深刻な財政難について指摘しています。

「18日の大阪府の予算、財政膠着化。基金の最大規模取り崩し。新年度予算では危機的状況がうきぼりに。大きなお世話と府に言われるかもしれないが、統合して人員予算が増えるにはいかないと普通は考える」

その通りで、大阪府の財政当局は、大阪市の財布をあてにして、府の予算削減を必ず狙います。結果は、2つのものを統合して、レベルダウンするということです。大阪府の研究所が直営であれば、知事の責任として最低限の保証が求められますが、共同設立により、その責任があいまいになるからです。

他の分野では、単独設置の独立行政法人はありますが、すでに運営交付金は2期目の中期目標からはどんどん削減されています。

しかも、より重要な点ですが、衛生研究所の機能としては、健康危機管理に対応する予算が確保されることです。新型インフルエンザ等の健康危機対応では、大量の検体を衛生研究所でさばいていくことになります。そのためには、検査試薬の費用、休日出勤等の人件費の確保が必要ですが、限られた運営交付金の枠内では法人経営を圧迫します。直営であれば、大きな大阪市という予算のスケールメリットで、柔軟な予算流用など緊急対応が可能でしたが、法人になれば法人の小さな予算の中でやりくりしないといけません。追加の運営交付金を交付するためには議会の議決を要するため、財政当局はやりたがりません。2つの議会にかけることはよりハードルがあがります。共同設立のマイナスは明白です。

この点を考えれば、「統合効果」を言いたいのであれば、「直営での施設統合」を選択肢に再検討が最低限必要です。その覚悟が吉村市長にはできるでしょうか?

 

以上のとおり、公明党の反対討論から言えるのは、共同設置の独立行政法人という形態そのものの再検討こそが、「修正」の内容として最低限ラインであるということです。そのためには、従来の案をいったん取り下げるか、保留し、再検討の場を設けることです。その再検討には各会派も協力し、合意形成が図れるのではないでしょうか。

 まじめに「大阪をまえに」進めたいのであれば、その決断をすべきです。