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環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

「副首都推進会議」ウォッチ続き。3機関の統合は、大阪市解体の「都構想」そのもの。

資料(議会質疑、報道など) 都構想の他分野(水道、バス、大学) 本質論

今日は、昨日8月22日の第5回副首都推進会議について、その内容に突っ込んでいきます。

昨日の会議のまとめ・議事起こしはこちら(【8/22 副首都推進会議(第5回)文字起こし】今回もブラック企業の会議のようでした - 環科研・公衛研まもれ@大阪

 

「副首都推進本部会議」とは、大阪市解体が住民投票で否決されたにもかかわらず、「都構想」を復活させる機関です。

資料でも、そのことは明らかです。

(配布資料はこちらの大阪市HPでダウンロードできます。

大阪市市政 第5回 副首都推進本部会議について )

資料2-1,2-2は副首都に関する記述なのですが、基本的に、大阪都構想の焼き直しというか内容は同じです。まあ、上山信一が作っているので当たり前といえば当たり前なのですが。

例えば、資料2-1において、「副首都に求められる機能としての府市機関の再編」「成長戦略の一環として、府市の機関を再編し、機能強化を図ることが求められる」としています。

「大阪都」を「副首都」に置換しただけで、目指すゴールは大阪市解体です。

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その第一弾として、大学、工業研究所、衛生研究所を再編するということが進められようとしています。

工業研究所も衛生研究所も、一般市民には身近でなくわかりにくい存在ですが、上山信一特別顧問は明確に大阪市解体のパッケージとして戦略にしているわけで、大阪市解体に反対の市民は、そういう目でしっかり見ていく必要があります。

他の、大阪市の水道民営化、地下鉄・バス民営化などもパッケージとされています。9月議会にむけて各会派の議論が進んでいますが、上山特別顧問がパッケージ的に進めることに対し、パッケージとして対峙しないと「大阪市を守る」ことはできないのではないでしょうか。

そうした内容も含め、「大阪市を残そう」8/27市民集会で、藤井教授の講演を聞いて、皆さんと共に考えていければと思います。ご参加お願いします。

日時:2016年8月27日 14時~ 場所:大阪市中央区民センターホール 

集会内容の告知はこちら( 8月27日、「都構想」を考える市民集会。超党派の協力が広がっています。 - 環科研・公衛研まもれ@大阪 )

 

 

「成長戦略」という名の、中小企業破壊への道

さて、「成長戦略」と言われるといいことのように聞こえますが、上山顧問の言う「成長戦略」とは、第一のポイントとして、資料を見ればわかりますが、ひとにぎりの金持ちがさらに儲けるための戦略です。大阪の事業所の多数を占める中小企業の振興、住民の健康や安全というものはこれっぽっちも考えていません。

資料でいうと、大学統合ビジョンとして、中小企業志向ではなく「大企業志向」に重点と明記しています(資料3のP37参照)。

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また、会議発言で、大阪市の工業研究所(市工研)所長が「中小企業の支援」を強調し、「それぞれの研究所の”強みを殺さない”ことを念頭に」とわざわざ言って、後で吉村市長が「どういう意味か」と蒸し返す場面がありました。統合は了承した所長でさえ、現行の統合案が中小企業支援の観点からデメリットになると危機感をもっていることとが伺えます。

 

第二のポイントとして、この「成長戦略」は、大阪市という政令市が自主性を発揮するのは邪魔だとして、必要な財源と人をむしりとる考え方です。
「大阪にはリーダーは1人でいい」、これは橋下前市長が繰り返し主張してきたことですが、この大学、工業研究所、衛生研究所の統合では、リーダーは大阪市長ではなくなります。

大阪市民は、統合した3つについて財源をきっちり担わされる上に、大阪市長や市議会に要望しても、反映させる機会を失います。地域性を考慮した市長の指示ができなくなるのです。

 

第三のポイントとして、大学、工業研究所、衛生研究所の3つとも、統合により、従来の機能に加えて、「新たな機能」を、この「成長戦略」に位置付けていることです。思い付きのような「新たな機能」をおしゃべりするのは勝手ですが、統合して職員の数が増えるわけでもなく、「新たな機能」に人員を回すためには、必ず、何かをカットすることなしにありえません。統合は魔法ではありませんから。そもそも、「二重行政の解消」から始まったはずの方針で、組織の統廃合とは一般的な企業の合併などを考えても、リストラとセットです。しかし、「何がカットされるか」はまったく示されていません。これでは、だましでしょう。

 

これらのことは、各テーマの資料や発言からも実際に見て取れましたので、以下各3機関のテーマのエッセンスを報告します。

 

3機関その1.大学は「大企業志向」

 

大学については第3回副首都会議(4/19)で、府市共同立とする、新大学のビジョンについて、上山顧問が入ってTF(タスクフォース会議)で検討するとなっていました。その記事はこちら。

4/19 副首都推進会議(第3回)まとめ。やはり、研究所独法化は止められる。 - 環科研・公衛研まもれ@大阪

 

今回も、バイオエンジニアリングとか横文字羅列して「大企業志向」を強めるとまで出されました。大阪市立大学の理念には「市民に還元」「市民とともに」と、ありますが、完全無視。大学の目的が完全に変わって、金もうけのための大学と露骨になってきました。

大学側は「新たな分野の強化には資金がいる」と要請しましたが、松井は「投資するわけだから、これだけリターンがあるとその時の首長に説得して」と一蹴しています。

本当にあきれます。大学のトップも悔しくないでしょうか。全く無関係な上山が牛耳って、歴史ある研究の積み重ねを否定され、勝手な方針を決められ、「せめて金を保証してくれ」と要望したら、いくら金もうけになるのか示せと言われてしまう。

 

具体的には、新大学は従来からの基本3機能(「教育」・「研究」・「地域貢献」)に加えて、以下の2つの機能と戦略分野を持つとされました。

①「都市シンクタンク」 
 パブリックヘルス/スマートエイジング
 スマートシティ

②「技術インキュベーション」
 バイオエンジニアリング/創薬
 データマネジメント

統合したら、なぜこのような機能強化ができるのか?研究者が増えるわけでもなく、予算が増えるわけでもありません。

従来からの基本3機能という「教育」・「研究」・「地域貢献」をリストラする以外にありえない。

突っ込みどころは満載なのですが、1点だけ。

資料3のP23~25では、「従来の公衆衛生を超えた“パブリックヘルス”が重要」というくだりがあります。言葉の定義として、公衆衛生とは、英語でのパブリックヘルス(public health)の和約でした。何が違うかというと、「今回のパブリックヘルス」は、「民間(個人・地域)の努力」だとしている点です。これまで行政が関わらなかった部分にもパブリックヘルスの対象を広げようというのではありません。従来から重要なパブリックヘルスの分野であった「高齢化と健康寿命の延伸」について、重要な課題と言いながら、それは行政の責任ではなく、自己責任だと転換させるということです。その分野において、その穴埋めを大学に関与させようという虫のよい話です。

高齢化と健康寿命の延伸について、がん検診の受診率が低いということが課題として出されていますが、それこそ行政が拡充すべきテーマなのに、「福祉・医療予算の抑制につながる」と大学にやらせようというのが上山氏です。人の命も金次第。

このような上山顧問は、「優生思想だ」とツイッターでも批判が広がっています。

 

本来、パブリックヘルス全体が、健康で文化的な生活を送るための、行政が責任を持つべき領域です。「従来の公衆衛生」を限りなく小さくし、税金を使って金もうけに投資したいのでしょう。それは、「行政責任」であるはずの公衆衛生研究所の業務を行政から切り離してしまうことにもつながっています。

 

このように行政を金もうけへの投資に変えながら、具体的な統合としては、

2019~21年度に法人を一元化(1法人2大学スタート)

2022~24年度に大学統合(1法人1大学スタート)

として、研究領域の再編は新法人にさせるという方向性が示されました。(資料3 P.64)

 

3機関その2.工業研究所は「スーパー公設試」」?

産技研と市工研は、すでにそれぞれが独立行政法人となっています。この2つの独立行政法人について、統合する案は、「統合効果が抽象的で明確でない」として、すでに3回府市両議会で否決されています。つまり、統合する意味がないと結論付けられています。

市工研は、大阪市の中小企業の技術支援、受託研究による先導的開発をしており、大阪市内に施設が必要です。統合案も、施設は2つに分かれたままです。

(市工研は森ノ宮センター、産技研は和泉センター)

 

今回、報告書として出てきたのも、一言で言って「抽象的で明確でない」のではないでしょうか。統合すると「スーパー公設試」になり、あれもできる、これもできると資料には書いていますが、意味が不明です。なんで進化すんねん?

 

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ワンストップサービスなどは、両研究所の連携でも可能でしょうし、わざわざ組織統合して、大阪市の中小企業の要望を直接反映させる研究所をなくす理由に値しません。

具体的に言われているのは、「1人の理事長のトップマネジメント」です。地域の頑張っている中小企業の支援ではなく、予算と人材を「成長分野」に振り分けていくということをしたいようです。研究員が増えるわけでもないので、これも大学と同じく、「何かをカットする」と言わなければ、だましでしょう。金もうけのために中小企業はつぶす危険性が大きいでしょう。

運営交付金の府市の負担割合も示されました。現市工研の建物で行う事業は大阪市負担、現産技研が行う事業は大阪府負担となるとのことですが、両施設をトップマネジメントで機能を振り分けていくわけなので、「大阪市の財源をむしりとる」ことにならないか何の担保もありません。

工業研究所についても、名称は「産業技術研究所」で、理事長は大阪府知事が決める「大阪府の研究所」になるものです。大阪市は権限だけ奪われることになるのです。

両研究所の統合は、いまの2つの独立行政法人を廃止し、新法人を平成29年4月に設立することを目指すとしています。

 

3機関その3.衛生研究所は「産業支援機関」?

上山特別顧問の資料2-2では、副首都に必要なインフラとして、第1層から第7層が説明されましたが、公衛研と環科研は、第5層の「「産業支援体制の充実(企業支援)」の中で、試験研究機関とひとくくりにされてしまいました。

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公衆衛生と「企業支援」とは、まったく異なるものです。大阪市会では、公衆衛生のコストカットにならないかという批判を受けて、さんざん「公衆衛生の機能強化」ということを吉村市長が答弁してきたはずなのに、本音はやはり、住民の命と安全よりも「企業支援」に金を使うことと明白になりました。こんなだまし討ち許していいのですか?ちゃんと議会で突っ込むべきですよ。

 事前に、「見どころは上山信一の「産業支援」がどこまで貫かれるか」と書きましたが、まさにその通りになりましたね( 8月22日(月)「第5回副首都推進本部会議」は大学、研究所統合と重要テーマ。見どころ紹介。 - 環科研・公衛研まもれ@大阪 )

 

100億もかけるという「施設の一元化」も、何の議論もなしに「では、一元化ということで」で終わりでした。場所は9月議会までに決めると言いますが、明らかに準備不足です。

もともと、施設は2つのままで、組織統合により約1億の効果額を生み出すというのが、大阪市分割の協定書で書かれていたことでした。

しかし、大阪市に感染症や食中毒の対策の責任があり、そのために研究所の機能は欠かせないため、議会に対しては「統合で機能強化」という説明を繰り返してきました。その機能強化とは何か、吉村市長は具体的に示すことができませんでした。

そのため、2月議会での公明党の附帯決議も受けて、あわてて施設一元化を出してきたという流れです。それがないと、9月議会でまたストップしてしまうからです。

こうして後付けで後出しじゃんけんを繰り返し、ついに100億もの追加費用を認めてくれというのです。こんな甘い話、許してはなりません。

さらに言えば、松井知事は、機能強化という議論に乗じて、もともと府施設として耐震化対策が必要だったものを、「新施設」として大阪市から財源をむしり取ってしまうチャンスと考えたのでしょうか。

いずれにせよ、府市両議会で可決し、総務省に認可を求めようとしている独立行政法人の定款には、法人の基本財産として2つの建物を定めています。これが実は未確定ということになるわけで、このまま来年4月スタートを進めることは、総務省に対する詐欺になります。もうむちゃくちゃです。基本財産は、新施設の構想が確定してから、改めて定款を定めなければなりません。

 

松井知事は「市議会に東京都を視察に行ってほしい。見たら一元化すべきとわかる」と越権行為。上山も「現場を見て審議してほしい」と。あなた方は「見ただけ」でしょう。ハコが立派と言ってるだけやん。市議会の指摘に答える内容ゼロでした。

新たな機能強化として、「東京都を参考に」と、疫学査チームの新設などを打ち出したのは、事前報道通りです。独法化したらできないのに。アピールのためだから、実際にできるのか何の検証もない。議会でまじめに審議すればわかる。疫学調査チームなどは行政権限です。実は東京都は独法化をしないために、行政権限を研究所に位置付けたと言われています。それ独法化してやるというのだから、無理筋すぎます。きっちり議論すれば勝てる内容と確定したと思います。

これは、あらためてブログ記事にしますが、あわてて機能強化をアピールするために、墓穴を掘ったと考えています。(続く)