環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

まだまだ終わってない!独法化のハードル3つ(9-10月大阪市・府議会の答弁まとめ)

TPP、なんですかあの強行採決は?(11月4日。衆院特別委。)
安倍自民、公明、維新が「賛成」して強行したとか。
安保法制につづいて、極悪ですね。

もう議会は議会として機能していないのか。

まるで環科研・公衛研の統合独法化を、維新・公明が「賛成」して強行したのと一緒ですね。

まだ衆議院本会議、それから参議院残ってます。
国会議員のみなさん、ここで決起できなければ、もう一生たちあがれないんじゃないですか?
地元の農業界背負って出馬した人、農業売りわたしに、屈するんですか?
反乱でも、なんでもやらんと。
もうチャンスは何度もないでしょう。。。

さて、大阪は大阪で、市民と議員が反乱(まあ、良い意味で)を起こす時代がきていると思います。

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まだまだ終わっていない、独法化のハードルの話です。

 

先日、こちらの記事で書いたように(大阪市と府の衛生研究所の独法化はまだ止められます。12/4集会にご参加を。 - 環科研・公衛研まもれ@大阪 )

9-10月の大阪市と府の議会で、環科研と公衛研の、「統合」+「地方独立行政法人化(独法化)」の関連議案はひととおり可決されてしまいました。
(定款の修正がないままですけども。)

しかし、現・与党の維新にやられっぱなしの議会だったのか?
というとそうではありません。

大阪の自民は、大阪市議団と府議団で一致して「反対」に回り、議案の矛盾を指摘。
これは新しい動きです。

他の会派(民進、共産、いくのみらい)も「反対」討論されていました。

ちなみに、「賛成」したわりに公明党も、議案の矛盾を指摘していましたね。。。
(なら「反対」するのが自然ちゃうか!?)

さておき、そういうなかで、吉村市長、松井知事の「統合・独法化で機能強化する」との説明は崩れ、逆に機能低下になることが明らかになりました。


そんななか、今後の手続きとして、2017年4月の法人設立を目指すとしています。
大阪府と大阪市は、国(総務省)に独法化の認可の申請を行う必要がありますが、それに対して以下の大きなハードルがあります。

①議会への約束を果たすこと(研究所の機能を守る担保を、予算、人材確保策、府市との協定書等で制度的に構築すること)

②労働組合との合意(人材確保のためにも、勤務条件を悪化させない担保を、予算、人材確保策、府市との協定書等で制度的に構築すること)

③施設一元化についての地元合意

 

現時点で、①②③全部、全然やれてません。
やれてないどころか、トラブル発生しまくりで、独法化する限りは未来永劫やれなさそうなことばかりです。
その事実が報道されてないから維新が強そうに見えていますけど。足元は火事場です。

①は9-10月議会で、大阪市と府が口約束してたようですが、その時点で制度構築できてないのに、できるわけない話。

②はもう3年以上、労使合意がないどころか、公衛研で所長が研究員にパワハラをはたらき、人事委員会にうったえられました。まだその山本氏が所長のまま。
他にも、組合から抗議されたりしています。

③は、「施設一元化」されるという地元(森ノ宮)は、理事者の開いた「説明会」で全く説明はさせてもらえないほどの大激怒。
しかもそのとき、地元に「ここに決まったわけじゃない」と説明して、その2日後に、「ここに決まった」との新聞報道をして、地元を裏切ったのが9月。

2017年4月の法人設立を目指すなんて、よく言いますね。
研究所そのものの破壊でも目的にしてるんですか?ってくらいあり得ない、無責任です。

議員の方々、市民のみなさん、研究所のみなさん、地元のみなさん、これらの問題が解決されない限り、法人設立はさせてはなりません。
止めましょう。

議会で賛成した会派は維新、公明のみ。
「賛成」した議員のみなさん、少なくとも①の「議会への約束を果たす」ことの確認、全部きっちりやってください。

議員に「なにをきっちりやってもらえばいいのか」がわかるように、以下、9月議会の答弁のポイントをまとめました。

大阪府議会は10月18日、大阪市議会は9月27日の答弁をまとめてますが、それ以外の答弁は日付を記します。 

(1)松井知事「エボラ」発言は事実上撤回に。では100億円かけた「機能強化」は何なのか、説明をすべき。

大阪府議会
◎:松井知事答弁
●:ほか理事者答弁(部長、副理事)
 大阪市会
◎:吉村市長答弁
●:ほか理事者答弁(課長等)

◎大阪ではエボラの検査ができない、まずは東京で、となる。これでは不十分だと思っていまして。東京でできるなら大阪でも機能強化は必要と考えた(6/8 委員会。)

◎エボラウイルスだけではなく、あらゆる感染症に対して高度な検査をできる体制を大阪に整備すべき(10/3代表質問)

●新研究所においては、一類感染症の「確定検査」は実施しない。また、一元化施設では、BSL4の実験室は設置しない(10/12部長)。

◎エボラ出血熱等、感染症法に基づく一類感染症の確定検査については、国においてのみ実施することとされている。このため、一類感染症等、地方衛生研究所において対応できないウイルスや細菌等の病原体の検査及びBSL4検査室の整備については実施しない

 

◎エボラに代表される高いレベルのウイルスについても問題なく扱えるぐらいの、施設の安全性を確保する施設を整備していく趣旨と私は解釈(9/27 委員会)

 

松井知事は、100億円以上かけて施設統合する理由を、「大阪でもエボラの検査ができるように」と、「機能強化」の目玉として発言してきました。これは、地元の反対も受けて、「地方衛生研究所において対応できないウイルス等の検査は実施しない」と修正に追い込まれたと言えます。

この表現では、「エボラ疑いのPCR検査はBSL3の地方衛生研究所でも可能」とする可能性がありますが、それなら現状でも同じ。

では、何のために100億円を新たに支出して施設統合が必要なのか、きっちり確認をすべきです。

 

(2)独法化すると、知事、市長が法人に命令できない、議会が関与できない。どうやって法人の業務に責任を取るのか。

 大阪府議会
◎:松井知事答弁
●:ほか理事者答弁(部長、副理事)
 大阪市会
◎:吉村市長答弁
●:ほか理事者答弁(課長等)

◎法人の定款や中期目標等については議決が、中期計画は報告が必要とされており、議会の関与については担保されている。(10/18 委員会)

●法人の実施した検査に誤りがあれば一義的には法人理事長等の役員の責任となる。誤った検査により行政処分を行った場合には、処分権者に責任がある。(10/3 健康医療部長)

健康危機事象が発生した際、具体的な指示を行うことを明示。実効性を確保するため、業務方法書への明記、府市と新法人との個別協定書の締結など万全の体制を整備する。(10/3 健康医療部長)

 

●設立団体の長である市長、知事といえども法人に命令をすることはできません
(9/27 委員会)

●法人の定款第12条で、健康危機発生時等に、知事又は市長は、必要な業務の実施を求めた場合に、十分かつ必要な業務の実施を指示している(9/27 委員会)


●中期目標の第2の前文において、「健康危機事象発生時その他大阪府知事又は大阪市長が必要な業務の実施を求めた場合には、迅速かつ十分な対応をすること」と定める。(9/27 委員会)


●健康危機事象発生時などに、知事又は市長による要請を、法人が断ることは基本的には想定しておりません。ただ具体的なケースにおける対応など細目については今後詰める必要がある(9/27 委員会)


◎定款において理事長は「市長と協議のうえ知事が任命する」という規定もあるので、この任命権を行使して対処していく(9/27 委員会)


●「協定書締結などの制度的担保」についても、今後、府市で調整(9/27 委員会)

 

独法化とは、行政、議会の関与を最小限にするものです。知事、市長は法人に指示はできず、予算執行や職員配置について議会が決めることもできないことが明白になりました。
 独立行政法人という制度ができた当時、政府が「主務大臣の監督、関与その他の国の関与を必要最小限のものとする」(平成11年4月27日閣議決定「中央省庁等改革の推進に関する方針」)と説明している通りです。
 それなのに、大阪府市は、これから策定する「中期計画」「業務方法書」「協定書」などにおいて、知事市長の権限の担保などについて万全の体制を整備すると約束しました。
 これは、次の(3)で「弾力的運営」をメリットとする独法とは、根本的に矛盾するものですが、約束した以上、きっちり確認を

 

(3)「なぜ直営ではダメなのか」について、虚偽答弁、デメリットが明らか。 

大阪府議会
◎:松井知事答弁
●:ほか理事者答弁(部長、副理事)
 大阪市会
◎:吉村市長答弁
●:ほか理事者答弁(課長等)

◎人口が集積し、2つの政令市と多くの中核市が存する大都市・大阪においては、府域全体で府民の健康と生命を守る広域的・統一的なセーフティネットが不可欠であり、このまま、2つの直営の研究所を存続させ続けても、その対応力には限界がある。(10/18 委員会)。

◎両研究所の統合により、100名以上の研究員を抱えた、高度な専門性と豊富なノウハウを有する地方衛生研究所が誕生する。弾力的運用を可能とする地方独立行政法人のメリットと相まって、東京都健康安全研究センターに匹敵する機能を備えた研究所づくりを進めていく。(10/18 委員会)


◎直営で2つの研究所をまとめられますか。府市が一体で新たな法人を作るということが一番のポイント。直営の手法で、府が直営に残して、市が配下に入れということでまとまりますか?まとまりません。直営にこだわって、今の機能、安心安全を守ることはできない。機能強化をする手段として独立行政法人化という形を作りたい(10/18 委員会)。


・新研究所においては、政令市、中核市の区域を超えた広域的、統一的な対応が容易になるなど、府域全体のセーフティネットを高めることが可能となる。(10/18 委員会)


・また、人員配置や予算単年度主義が緩和されるため、人材や資金等の機動的かつ弾力的な運営が可能になることから、府市においては、地方衛生研究所の統合・独法化を進めていく。(10/18 委員会)

 

◎2つを統合して機能強化していく、あくまでその手法として、地方独法化という結論に至ったもの(9/27 委員会)

◎独法化していくことが、ひいては市民府民の安心安全につながる(9/27 委員会)

 

<「弾力的運営」こそ、独法化の本質>

 自治体の職員定数は、地方自治法により、議会で「定数条例」を定めることとされています。職員を増やしたり、減らしたりするのは議会のチェックが必要です。独法化は、この縛りが無くなり、「弾力的運営」となる。つまり定員管理から外れる。
 独立行政法人法制定時に、政府が次のように答弁している通りです。

「まさにそこが独立行政法人の特徴でありまして、定員の管理、どれだけの定員を維持していくのかということはひとえにその独立行政法人の長が経営者として判断すること」平成11年5月31日太田大臣

 橋下や松井が独法化にこだわった理由はココです。
 定数管理の縛りがなくなることで、「選択と集中」が可能になる制度、つまり、リストラができるということです。

(平成24年6月5日第3回府市統合本部会議)
橋下「組織の自律的マネジメントが、まず、それが最優先」
松井「直営でやるのか、公務員型でやるのか、非公務員型でやるのか。組織をマネジメントする形としては、やはり独立行政法人のほうが、いろんなものに、逆に縛られずに、どんどん自分たちの努力によって発展もするしという可能性も大きくなるという、そういう方向性でものを考えるということでいい」

 この9月議会でも、「弾力的運営」を法人化のメリットとして繰り返し説明していますが、これは、平成24年当時の橋下・松井発言と何も変わっていないことを示します。
 つまり、「定数」を定めず、自由にリストラする権限を理事長に与えるということにほかなりません。具体的には、任期付きの拡大や目立たない業務は廃止していくということですが、それでは技術継承がされず、健康危機事象にも対応できない法人になる危険性があります。
 (2)で府市は「協定書等で万全の体制を整備する」と約束していますが、「弾力的運営」をさせない体制を作ることを意味します。何より、「定数」(職員数)について、議会できっちり確認していくことです。


<直営では統合できないというウソ>

 平成24年6月5日第3回府市統合本部会議では、「直営による統合」も選択肢としては資料に提示されています。しかし、一切の検討はされませんでした。発言としては上記の「組織の自律的マネジメント」というのみ。
 このことから、「統合のために独法化という手法しかない」という答弁はウソです。職員定数を定めず、自由にリストラをさせるための独法化だったのです。


<独法化で広域的対応が容易にというウソ>

大阪市と大阪府の研究所の組織を統合しても、保健所設置市をカバーすることはありません。今の直営体制でも、中核市からの依頼による検査対応は行っており、法人化して行政区域を超えた対応が容易になるとの答弁は明らかな虚偽答弁です。
広域対応で求められるのは、本当は以下の点です。
①大阪府が「基幹感染症情報センター」を設置し、一元的に情報収集、解析をすること
②中核市対応分の病原体情報を収集するシステム作り(東京都の病原体サーベイランス事業など)
③健康危機管理事象発生時の、大阪府と中核市との連携協定(研究所の時間外対応の費用負担の取り決めなど)

 しかし、独法化の中期目標では、「中核市と連携」という単語だけで、何も具体化されていません。大阪府と中核市が平成28年4月に締結した③の協定は、研究所を法人化すれば意味をなさなくなります。広域的対応の具体的な仕組みはまったく示されていません。

 

(4)疫学調査に関わることができなくなるなど、独法化では機能強化ができない

大阪府議会
◎:松井知事答弁
●:ほか理事者答弁(部長、副理事)
 大阪市会
◎:吉村市長答弁
●:ほか理事者答弁(課長等)

●感染症法上の疫学調査は、府の責務であり、保健所等行政職員が行う(10/18 委員会)

●同チームはこれら職員を指導・協力して、より精度の高い疫学調査を進めていく(10/18 委員会)

 

●新研究所では、チームの職員が現場に同行し、保健所が行う疫学調査が迅速かつ的確に行えるよう客観的な視点からアドバイスを行うなど、大阪府域全体の疫学調査機能の向上を図れるよう具体的な仕組みづくりについて検討していく(9/27 委員会)


◎今まで以上に、この疫学調査に積極的に参画していけるよう、府市ともに構築していきたい(9/27 委員会)

 

府市は「東京都に匹敵する機能強化」を行うとし、疫学調査チームを作るとしていますが、独法化したら疫学調査にはタッチできないことが判明しました。
しかし、法人職員が「現場に同行」する具体的な仕組みづくりを検討すると約束しています。
法人職員には、法律上、感染症の患者や接触者への聞き取りを行う権限がありません。一体、どんな仕組みづくりができるのか、法人化までに明確にしてもらう必要があります。
法人化してから、「やっぱりできません」では済みません。

 

(5)機能強化の具体化(中期計画、人材確保、予算措置、中核市支援など)をどう進めるのか

 大阪府議会
◎:松井知事答弁
●:ほか理事者答弁(部長、副理事)
 大阪市会
◎:吉村市長答弁
●:ほか理事者答弁(課長等)

●健康危機事象が発生した際、具体的な指示を行うことを明示。実効性を確保するため、業務方法書への明記、府市と新法人との個別協定書の締結など万全の体制を整備する。(10/18 委員会 健康医療部長)

●府域全体のセーフティネットを確保していく観点から、多くの専門人材と豊富なノウハウを蓄積した地方独立行政法人の新研究所において、中核市からの支援ニーズに対応できる仕組みを構築したい。(10/18 委員会 健康医療部長)

中期計画で示していくことが重要。予算にもからむことであり、年内に一定示してまいりたい。(9/27 委員会)

◎(機能強化について)今からでも何ができるのか検討して、来年度予算に反映できるものがあれば反映し、しっかりと取り組んでまいりたい。(9/27 委員会)

◎優秀な人材を確保し育成していくことも重要。今後の研究所の体制をまず整理したうえで、必要な人材を計画的に確保していくことに努めてまいりたい。(9/27 委員会)

◎どういった施設にするのか、組織にしていくのか、体制にしていくのか、もちろん大きな方向性はこの中期目標で示しているが、可決をいただければ年内をめどに一定示していきたい。(9/27 委員会)

●(感染症の機器整備が法人化すれば国庫補助の対象外になるが)適切に機器更新ができるよう進めてまいる(9/27 委員会)

●急迫で重大な健康危機事象が発生した場合には、大量に必要となる試薬等については、大阪府市で必要な運営費交付金を措置できるよう制度設計を行ってまいります(9/27 委員会)

 

 ここで約束している「年内」に示すとしているのは、まとめますと以下です。

労働組合も、議会もきっちり確認すべきです。

(A)知事、市長の権限の担保について、業務方法書、中期計画、協定書の締結など万全の体制を整備すること。

(B)機能強化について、予算に反映すること。

(C)今後の研究所の体制を整理し、必要な人材の計画的な確保を行うこと。⇒人材確保計画を示す必要があります。

(D)中核市からの検査依頼、中核市検査分の病原体情報の収集など広域対応の仕組みを構築。

(E)国庫補助を受けずに、機器更新に支障をきたさない仕組みづくり(運営交付金にあらかじめ想定して上乗せするか、個別協定書などの対応か)

(F)健康危機事象発生時の必要な試薬や人件費等を想定した運営交付金の制度設計

 

市民、研究所、議員のみなさん、おかしいものにはおかしいと言いましょう。
12月4日は以下の集会へ!

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