環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

都構想で1兆円超の節減効果 あるわけないやろ シリーズその2

7月11日に大阪市と府によって公表された、「都構想の1兆円の節減効果」の試算の結果報告書(全108ページ)(以下「報告書」という)の内容について、批判したいというコンセプトで、タイトルのシリーズ、第2回目です。

シリーズ第1回目はこちら。↓

dokuhou-hantai.hatenablog.com

 

シリーズ第2回目の今回、とりあげるのは、病院などの府と市の経営統合による歳出減の効果額について(のデマ)です。

効果額としては最大67億円(10年間で。1年あたり6.7憶。)と小さい(※)のですが、当初、都構想でぶちあげていた「府市統合による二重行政の解消・効率化」を試算している章なので、
都構想の根幹からデマだった、と示すことにもなるので、とりあげました。

(※)効果額の1年あたり6.7憶円が、どのくらい小さいかと言うと、いま、都構想を進めるため設立されている「副首都推進局」の経費(人件費を含む)が府6億円、市6億円で毎年12億円かかっているので、都構想で「二重行政解消」するための経費のほうが毎年5億円超になるくらい、試算の効果額が小さいです(しかもそれさえデマ)。

 

ちょ、当てはまりわるすぎ(デマでしょ)

効果額の試算のなかで、俎上(そじょう)にあがっているのが、病院統合と大学統合。

いずれも、「住民サービスが低下しないように」考えたところ、「事務職員の削減」だけを統合効果とするということです。
環科研・公衛研の統合のときの最終的な効果の考え方と同じですね。
(事務職員の仕事をなめんなよどんだけ現場を知らんのやと思いますが、置いておきます。)

全部同じロジックと同じような結果なので、今回は病院の経営統合を例にします。


それで、試算の報告書の、経営統合効果の可能性を検討するグラフがこれ。

f:id:dokuhouhantai:20180713113450p:plain

縦軸が、病院の1床(入院ベッド)当たりの事務職員の人件費、
横軸が、ベッド数(対数値。logの「底」を含め詳しい定義は記述になくわかりませんでした)。
そこに、全国の公営企業形態の病院と、府立病院機構、市民病院機構をプロットしているようです。

そして、この図について、報告書では、
「この図からは、病床数が増えると1床当たりの事務職員等の人件費が減少していくという関係性がやや明瞭ではないものの見受けられる。」
って言ってるけど

疑問1)見受けられるかぁぁ???だいぶ不明瞭やぞぉ?

報告書のその続きも、

「仮に」関係性があれば、経営統合で人件費を削減できる「可能性」「想定」できることになる。

って、

疑問2)ほら、どんどんトーンダウンしてるやん。さては後で役所側が報告書に手入れたやろ、そこ。

「さすがに言いすぎや」ってね。

 

さて、みなさんがこの報告書の業務担当者なら、「関係性がある」という、どういう近似曲線(直線)、引きますか?

曲線だったら・・・こうかな?赤い曲線は当会の手書き)

f:id:dokuhouhantai:20180713115854p:plain

 

うーん。当てはまってるかなー。

いやいや、ここはビシッと線引いて、「当てはまってます!」と言い切るのが大事だ。

これではどうだろうか?赤い直線は当会の手書き)f:id:dokuhouhantai:20180713120015p:plain


いやいや、これでは正の相関になってしまって、経営統合したら余計に高くついてしまうではないか!ばか者!

では、これではどうだ?
赤い直線は当会の手書き)

 

f:id:dokuhouhantai:20180713120034p:plain

ってな会議をやったんでしょうかね。


分布図に相関の線を引く、というのは、正でも負でもどっちにも計算はできる。

ただ、デマだと、当てはまりが悪くなるだけなんですよね。

そこでデマだとバレるだけで。

 

あ、報告書に当てはまりの良し悪しの結果表ありました~。

f:id:dokuhouhantai:20180713121026p:plain

疑問3)え”っ 決定係数(R二乗)が高いほうで0.155?
それって、当てはまってませんよね?


adjR2は重回帰分析の当てはまりの良さを表すために補正された決定係数(R二乗)

R2は、0から1の間の数字で、1に近づくほど当てはまりが良いという指標です。
普通はR2は、0.7以上が求められるんじゃないですかね?

個人的に、R二乗が0.017とか0.155とか、そんな数字のグラフ掲載は見たことないです。

恥ずかしくて載せないんじゃないんですかね。

実際、シリーズ1で紹介したデマ図さえ、R2は0.9程度でした。
(その図は元データがデマでしたが、近似式の当てはまりだけは良かった。)

 

疑問4)自分でも当てはまってないと認めてる結果を、効果の試算額に入れるか?しかもその後、”府知事と市長の意思決定率”のようなわけのわからない係数で、この当てはまってない結果をさらに掛け算に回して、こねくりまわしてました。税金でなにしてるの?

いや、わからないですけどね。
単に報告書がブラックボックスなだけなので、当会の指摘もあたらない部分があるのかもしれないので、なんらか、真相を明らかにしていきたいですね。
(ブログの引用はもちろん自由で、歓迎です。)

 

でも、デマやろうなと思うもう1つの材料なんですが、この報告書では、シリーズ1の図と違って、近似曲線(直線)の図は、掲載されてなかったです。

見せ方が重要と思う御用学者だと、最後の見せグラフで、近似の線をいじって、角度変えたり、線をぶっとくして当てはまりが良さそうな騙し絵にしたり、やるでしょうね。

それさえやりようがなかった、手の施しようがなかった、ということなのかなぁ。

 なお、他にも、府と市の病院のデータだけ、”機構”として別統計資料からプロットしているのも、なんだかあやしいのですが、まあ本論じゃないので置いておきます。

また次回をお楽しみに。