環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

「府議会で賛成、市議会で反対」は「ねじれ」ではない(大阪府市は、上山顧問の「リストラ計画」について議会でちゃんと説明してください)

公衛研と環科研の統合・独法化について、「自民・公明は、大阪府議会では賛成したのに大阪市会で否決したのは”ねじれ”」「自民・公明は党内で調整せよ」という宣伝がされています。
しかしこれは「ねじれ」でもなんでもありません。

大阪市と橋下維新がウソの説明をしていることや、あまりに拙速な案だったと判明したことで、急きょ大阪市会の自民、公明がブレーキをかけた、それだけです。

次から、詳しい経過を説明します。

 先に紹介した2015年10月2日の大阪市議会でも、維新の金子議員、橋下前市長は、府議会での可決という事実をつきつけて、市議会でも可決するよう迫っています。
しかし、統合・独法化が具体化する中で、住民の安全をまもる機能が後退することが明らかになったのであれば、反対するのは当然ではないでしょうか。
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◆金子恵美委員
これまでの審議経過を見ますと、府議会では関連する議案の全てが可決成立している一方、大阪市会では平成25年3月に独立行政法人の定款、そして評価委員会共同設置協議案が可決、これは統合と独法化のメリットを理解された上でそもそも可決されたはずでありますが、残りの関連議案は否決され、遅々として進んでいない。そこで、25年3月に可決した時点で、確かにこの市会でも得たはずの共通認識たる二重行政の解消を前に進めたいという強い思いから、改めて提案されたと理解しております。
◎橋下市長
大阪府議会ではこれは可決されています。そして大阪市議会では否決。自民党、民主党、公明党、共産党で、同じ党の中で賛成、反対が府議会、市議会と分かれているんです。
大阪会議が発足した以上はしっかり府議会、市議会でこの統合案件も上げて、そして大阪会議でも議論をして、そしてきちっと自民党、民主党、公明党、共産党にこの党内の不一致を調整してもらって結論を出してもらいたいという思いで今回この統合案件、本議案を再提出した。
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たしかに、経過を見れば、自民も公明も、統合・独法化の「定款」については賛成し、府議会では研究所の廃止条例にも賛成しながら、市議会では反対に回りました。

2013年(H25) 2-3月 大阪府議会・大阪市会で統合・独法化の「定款」を可決
2013年(H25) 12月16日 大阪府議会で研究所の廃止条例等を可決
        12月17日 大阪市会で研究所の廃止条例等は継続審議
2014年(H26)  12月19日 大阪市会 研究所の廃止条例等を否決
2015年(H27)  2月24日  2回目の否決
2015年(H27)  10月9日  3回目の否決

この1月12日にも、産経新聞が「どうなるの大阪府市連携? まずは大学から
港湾、研究所はどうなる…」という記事を配信していまが、「「府立公衆衛生研究所」と「市立環境科学研究所」という公衆衛生系の研究所の統合に向けた議案は、25年12月に府議会で可決されたが、市議会では否決が続き、“ねじれ”が生じている」と言われています。
http://www.sankei.com/west/news/160112/wst1601120011-n1.html

しかし具体的に経過を見れば、統合・独法化が具体化される中で、状況の変化があったから自民・公明は反対に変わったのです。住民の安全をまもるためであり、非難される言われはありません。何があったのか?それは上山信一特別顧問の「リストラ計画」指示が明らかになり、独法化で衛生研究所の機能が後退する懸念が高まったことが要因としてありました。

2013年(H25)に、統合・独法化の「定款」に賛成した当時は、例えば2013年(H25)の2月大阪市会では、「地方衛生研究所の機能をそのまま引き継ぐこと」「大規模な健康危機事象が発生した場合には、これまで同様、迅速に対応できる」との理事者説明がありました。
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平成25年02月22日 大阪市会民生保健委員会
◎曽田健康局環境科学研究所独立行政法人化担当課長
 今回の統合と独立行政法人化につきましては、当然移行型の独立行政法人ということで、今までの、要するに地方衛生研究所が持っておりましたその機能をそのまま引き継ぐというのが前提でございます。
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現状維持であれば反対する理由はなく賛成したものであり、理解はできます。また、公明党は機能を維持するための十分な予算措置をするよう意見を出してきました。

しかし、2013年(H25)12月上旬に、上山信一府市特別顧問は、独法化した後の「リストラ計画」を作るよう指示しました。健康危機管理にかかわる検査部門を丸ごと廃止し、予算を「産業支援」に回すプランをつくるよう指示したと言われています。これは、「機能をそのまま引き継ぐ」という従来の議会答弁を反故にする暴挙でした。

この「リストラ計画」指示が明らかになったのが12月中旬ごろであり、府議会の審議には間に合いませんでしたが、市議会の各会派が慎重姿勢に転じたのです。

そして、2014年(H26)2月28日には、府議会本会議で問題にもなりました(民主党代表質問・半田実議員)。
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ノロウイルスなど食中毒、感染症など、健康危機事象が起こったとき、研究所は重要な役割を果たしてる・・・関連条例は、府議会では先の定例会で可決されたが、大阪市議会ではすべて継続審議となっているが、両研究所のタスクフォース会議において、特別顧問が来られ、中期目標の具体化を目指した議論では、リストラの話もあると聞いており、健康危機事象が起こった時に、研究所が役割を果たせるのか疑問である
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このような統合・独法化の具体的問題が明らかになる中で、2014年(H26)12月19日に大阪市会で否決に至るという経過になります。

吉村市長が、再度、統合・独法化を議会に諮るのであれば、この「リストラ計画」について真相を明らかにすることを求めるべきです。

「リストラ計画」とは、従来の業務の変更が懸念されるものです。したがって、どのような計画策定を作業しているのか、議会にきっちり説明すべきでしょう。議会に付託されている「中期目標(案)」は定款の目的を達成するため、従来の地衛研の業務を継続するという内容でした。その中期目標とは異なる計画を策定しているのであれば、議会を愚弄する話ではないか?

可決された<地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所定款>(目的)第1条
 この地方独立行政法人は、地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)に基づき、公衆衛生に係る調査研究、試験検査及び研修指導並びに公衆衛生情報等の収集、解析、提供等の業務を通じて、健康危機事象への積極的な対応をはじめ、行政機関等への科学的かつ技術的な支援を行い、もって住民の健康増進及び生活の安全確保に寄与することを目的とする。
また、2014年(H26)1月28日の府市統合本部会議では、研究所の「機能強化」の具体化が指示されていますが、その議論は、定款及び中期目標(案)とはまったく異なるものです。上山特別顧問は研究所の役割を「主に産業支援」と発言し、それを受けて松井知事が次のように述べています。
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○松井知事:いまの公衛研の所長も、機能強化、二つの研究所の機能を統合して機能を強化することが重要だと言っている。この間の医療戦略会議、これも上山先生にいろいろまとめていただいた中で、スマートエイジングシティ等の考え方も出てきていますし、また医薬品の中心地域と言うことで、企業を呼び込む、国へも提言していく。この支えになるのが研究機関ということ。機能強化について、まとめていきたい。
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※同年1月10日に開催された医療戦略会議(上山座長)の「医療戦略提言」では、公衛研は「スマートエイジングバレー構想」の中で、「産業支援機関」と位置付けられている。

しかし、松井知事や上山座長のいう「機能強化」とは、何を機能強化することなのでしょうか?「産業支援」との研究所の位置づけは、公衆衛生の機能強化とは明白に異なるものです。

現在の両研究所の機能の予算上の9割以上は、感染症、食品検査などの保健所の行う公衆衛生のための行政検査・研究です。また可決された独法化の定款は、研究所の目的を「住民の健康増進及び生活の安全確保」と定め、業務の範囲を「公衆衛生に係る調査研究、試験検査」としていますが、「リストラ計画」と松井知事の意向を考えれば、定款での目的と全く異なることをやろうとしていることがわかります。

「産業支援」とは聞こえはいいですが、府市が、定款の定めた内容と異なる位置づけを検討するのであれば、議会での議論はやり直さないといけません。従来の地方衛生研究所の業務を「リストラ」し、新たな産業支援の機能を強化するということでは、府民、市民の公衆衛生、健康危機への対応は、「機能強化」どころか後退ではないのか。

そうした検証なしに、2月市議会での賛成はありえません。自民・公明は住民のために反対を貫いてください。