環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

大阪市立環境科学研究所を、「衛生」と「環境」に分離したらできなくなる実例3つ

以前にいくつか記事にしたとおり、大阪市・吉村市長は、3月1日、現行の「大阪市立環境科学研究所」を衛生と環境分野で切り離し、環境のみの直営組織なる「市立環境科学研究センター"を新設するという案件(議案第166号)を上程しました。

しかもこの案は、こまかく言うと、環境分野を以下のように、3つに切り刻んだ案となっています。

①「衛生+飲用水・室内環境」=独立行政法人化
②「民間委託できるものなる環境」=民間委託化
③「それ以外の環境(予見的研究)」=第166号の新設組織化

かつ②③は未だに抽象的で、現場の研究員さえ、どの業務が②③か知るよしもない状況です。

衛生(健康を守ること)と環境(公害や都市環境問題を改善すること)がそもそも横断的な分野なのですから、1つの施設、1人の担当で横断的にやっていた検査・研究を2つや3つに切り離すなんて、合理性をちょっとでも考える人なら、あり得ない案です。


環科研を「衛生」と「環境」に分離したらできなくなることについて、実例をもとに掲載します。今日のところは2点掲載します。もっとあるでしょう。


(その1)環科研では、大規模な事件が発生した時には課をまたいだ応援体制を敷いて対応しています。
過去の一例として、アスベストの法・条例改正時など、大量の検体を検査しなければいけなかったとき、主な担当課は環境分野ですが、応援体制を組み他課で検査の一部を担いました。
また、食中毒の大量検体の検査(主な担当課は衛生分野)では、雪印の乳製品の食中毒事件もそうでしたが、環境分野の研究員も原因物質(毒素)の検出を担いました。
そうやって、主担課の研究員が、検査の核となるところに集中し、比較的簡単な作業を他が分担することで、膨大な検査をこなすのです。
それが他組織になると、できなくなります。

(その2)普段から両方の分野で機器をシェアしているのが、他組織になると、できなくなります。(具体的には別途。)

これは、第166号議案(環境分割)が、健康危機事象に対応できなくなる根拠ではないでしょうか?

 

ここで、大阪維新や、大阪維新の腹話人形の大阪市理事者は、こう言いそうですよね。

「安心してください、今後も連携しますよ。」

 

いいえ、そうは絶対なりません。

以下、もう1つの実例があります。


「大阪府立環境農林水産総合研究所」という組織が今あり、これは、大阪府の担う環境分野の研究所なのですが、4年前の4月1日から、独法化されています。

独法化にともなって、この研究所の建物は、もともと10割大阪府だったものが、
9割が地方独立行政法人組織(環境の研究)、1割が大阪府直営組織(環境の常時監視)
と建物内で組織分離されました。

そうすると、独法化される前の3月31日までは当然に1つの組織として共用していた、施設、ソフトウェアのライセンス(使用権)、細かな備品にいたるまで、「独法か、府か」に無理矢理わけられ、たくさんのものが共用できなくなりました。


なぜそうなるのか?


ライセンスの話では、組織が同じであれば、ライセンス(≒コンピューターごとに使用権を買う)はパックで安く購入しますが、それを他の組織で使うと著作権法などの法律違反になります。
したがって組織ごとに購入、となります。

また、備品や施設のことでは、組織たるものは、備品1つにせよ台帳で管理し、勝手によその組織が使う(=横領)ことがないようにします。
使いたければ組織間で話し合い「借用依頼」をするなど、手続きに時間をかけなければいけません。

また、「独法か、府か」にわけるときには、独立行政法人組織は、自主採算性が問われ、シビアな運営が求められていきますので、「これは独法の資産に」という取り合いの論理になるのは必然です。

そうやって、昨日まで同じ職員だったのが、明日からは利害が別になるのです。


この「大阪府立環境農林水産総合研究所」の独法化のときも、「独法組織と府の連携」が大いにうたわれていました。

しかし、上記のようなことは必然的に起きました。どこの独法組織もそうです。
組織が変わるというのは、そういうことです。

また、府の独法研究所では、独法になった4月1日から、お昼休みの時間も違う時間になったといいます。
昨日3月31日まで一緒にお昼を取っていたのが、今や、独法組織と直営の職員が、お昼休みを共にすることはほぼないそうです。

「独法組織と府の連携」をうたいながら、わざわざ休み時間まで変更するのだから、やはり、割り切った「別組織」なんですね。

あと、思ったんですけど、

府の環境は独法、市の環境は直営、という案なんですね。

府の環境を独法にしたのは大阪維新だから、大阪維新のねじれ、だな。

(単なるイヤミです。)

言いたいのは、大阪維新のやっていることは、計画的でも一貫性もへったくれもなく、大阪市民の健康も環境改善も、全然、どうでもよいと思っているということです。