環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

ヤマ場まであと2日【3/19毎日新聞】環科研・公衛研/統合、大阪市議会審議大詰め 機能強化?先細り?ーー論点整理を補足します

毎日新聞の平川記者が再度、記事にしています。

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(WEB版こちら http://mainichi.jp/articles/20160319/ddl/k27/010/459000c


あさっての3月22日に、大阪市議会後半の民生保健委員会での採決日とされています。

この日がエックスデー、ヤマ場です。


「賛否を決めかねている会派もある」というのは市議会公明党でしょうか。

記事になっている論点は、おおむね、公明党の杉田議員や山田議員が質問してきた内容です。

(公明の質問内容: 本日は公明・杉田市議。大阪市委員会 環境科学研究所の統合・独法化についての質疑。(3月14日) - 環科研・公衛研守れ@大阪 )


以下、毎日新聞の記事の論点まとめを補足します。

市議会では、自民党や維新も質疑をしており、かなり論点が出てきていますから。

(関連ブログ記事:

飯田さとし市議(3月10日 大阪市 委員会)一問一答コメント きちっと1つ1つ答えをお待ちしています - 環科研・公衛研守れ@大阪

本日は自民・西川市議。大阪市委員会での質疑。(3月11日) - 環科研・公衛研守れ@大阪 )

 

論点(1)追加提案された環境を市の直営で残すという案は、議会の意向を踏まえたものか

・公明党は「環境と衛生の一体型の環科研の強みを強化すべき」と、環境と衛生の分離に反対していた。

・吉村市長の追加提案はあくまで「環境」と「衛生」の分離。環科研での機器の共同使用も切断されデメリットが大きい。

 

論点(2)3月14日に杉田議員の指摘した「共同設立の独法で指揮命令はどうなるのか」という点

吉村市長は「平時は独法が責任となるが、緊急時は市長の指示(だから大丈夫)」と答弁したが。 

・「平時」とは何か?「緊急時」とは何か?

・ノロウイルス、O-157、結核など、日々の健康危機は「平時」にある。感染症法は、平時においても検査は市長の責務と明確にしたもの。

・感染症の検査は、感染拡大防止のための公権力行使であり、市民活動を規制する政策判断とも直結するもので、市長が責任を負う。

・吉村市長の答弁は、市長の責務を法人に丸投げする違法。「平時」も市長の指示、責任が果たせる体制なのかが論点である。

  

論点(2)感染症法での「市長の責務」は、独法では果たせない3つの点

①大阪市が、独法に検査を依頼する担保がなく、民間委託が進めば技術レベルが低下する(→機能強化のためには、独法への随意契約にする理由になる条例化が必要)

 ※感染症の検査は、国庫補助事業であり、運営交付金とは別枠の委託契約となります。 

②独法への委託契約の形態では、改正感染症法で規定された、標準作業書の作成など検査の質の確保について、大阪市として責任が取れない

  (感染症の検査は検査手法が確立されていないものが多く、ルーチンではない。委託元として、日々バージョンアップすべき標準作業書の内容を作成する能力がない。チェックできないため、丸投げになる。丸投げは責任を取るとは言わない)

 ※これは、厚労省が独法化を認めるハードルとしている点。

 ③独法への委託契約の形態では、仕様書に縛られ、迅速な情報共有などに制限がかかる

  (感染症の検査は、保健所の疫学調査との連携が必須。別組織になれば、疫学解析に必要な個人情報の共有にも制限がかかる)

  その他、委託契約では、検査をすればするほど委託料が上がるため、原因究明を深掘りしにくくなる(行政の依頼が「ノロウイルスかどうか検査して」であれば、それしかできない)

 

 論点(3)国庫補助事業以外について独法のデメリット

①限られた運営交付金の中で、効率化が求められるため、検査のリストラ、非正規化がすすみ、技術継承がなくなるリスク

  ※感染症の一部は委託契約ですが、それ以外(HIVなどの感染症、食中毒、食品検査、薬物、水質など)は、法人の運営交付金で法人の判断で執行

②健康危機時(たとえば、冷凍ギョーザ事件、BSEなど)の材料費、人件費コストの増加は、数年おきに発生するが、補正予算対応では迅速対応に支障が出る

 (直営であれば、健康局の予備費対応などが可能だった)

 ※結果として、その財源を出すために、他の分野のリストラ、非正規化が進まざる得ない。

 

 論点(4)独法のデメリットを上回るメリットはあるのか

・この間の大阪市側の強調してきたことは、「統合により職員倍増し、緊急時にスケールメリット」ということでしたが、「職員はトータルでは増えない」と認めた。

・法人化による「柔軟な雇用」などは、市長の責務による精度管理を考えれば、メリットとは言えない。研究メインではないから。

 

それでも統合によるスケールメリットということに価値を置くのであれば、独法ではない形態での、施設統合を再検討したらどうか(たとえば京都のような合築など)

  ※コストはかかるはずですが、公衆衛生のレベルアップのためというのであれば、3回も否決してきた独法化案にこだわらず、将来に向かって投資すべき。

 (京都は合築予定 http://www.pref.kyoto.jp/hokanken/kyoudouka.html

 

 

すでに統合・独法化=機能強化というロジックは破たんしています。

吉村市長の追加提案は、大阪市議会での指摘にまったく答えるものではなく、衛生研究所の「統合・独法化」すること自体が目的となってしまっているのです。

22日はきちっと否決し、本来の機能強化にとって必要な組織の在り方を、議論しなおすべきです。

 

 ※本来は、研究所を持たない中核市(豊中、高槻、枚方)や機能の弱い東大阪も入れて、将来像を検討すべき時期。それは大阪府の役割でしょう。