環科研・公衛研まもれ@大阪

橋下維新の大阪市解体(都構想)は許せない!大阪市立 環境科学研究所(環科研)、大阪府立 公衆衛生研究所(公衛研)の統合 · 独法化、反対。メール dokuhou.hantai@gmail.com ツイッター @dokuhou_hantai

おおさか維新の「大学統合」は知れば知るほどとんでもない。

今回は大学統合についてです。
 
大阪都構想の目玉の一つ、大学統合が進められており、4月19日に「府・市が新大学を共同設置する」という方針を決めました。
本当にとんでもない。
 
今後、都構想そのものへの批判として書いていきたいと思っていますが、まずは大きな問題と思ったことを以下に挙げました。


ポイント1 市大も府大も伝統と実績ある大学です

市立大学も府立大学も、それぞれ社会的な位置をうちたててきた大学で、けっして橋下に「無駄」といわれる筋合いはない。
IPS細胞によってノーベル生理学・医学賞を受賞した山中教授は市大の大学院出身ですし、市大の理論物理学のグループを立ち上げたのはノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏です。
他 にも古代史の第一人者・直木孝次郎氏や公害問題・環境問題の第一人者・宮本憲一氏がつくってきた研究体制はいまも継承されています。伝統ある本格的な研究の拠点が市大です。

他方、府立大学も「実学の大学」として、関西圏の企業の中枢を担う多数の人材を輩出してきました。

長きにわたる伝統と実績を、維新の会ごときが「時代にあった大学の運営」につくりかえることなどできる大学ではありません。
 

ポイント2 投入する税金は変わらない

橋下は大学統合に対する様々な批判に対して、
「この議論は、住民の負担の話をすっ飛ばしています。……首都大学東京一つにかかっている東京都の財政負担は年間約120億円。一方府立大学への大阪府の財政負担は約1 00億円。市立大学への市の財政負担は約108億円。あわせると合計208億円にもなる。こうした二重行政が長年続けられてきた結果、大阪市民は気づかぬうちに巨額の負担をさせられている」
と言ってきました。

しかし4月19日の「副首都推進本部」会合で決まったことは
①2019年度に新法人を発足。2022年度開設をめざす。
②運営交付金(2016年度当初予算で府立大約98億円、市立大約104億円)は統合後も減額しない
ということです。
 
ほー・・・
府が100→98億、 市が108→104億、と・・・

はあーー!?
「年間100億は浮く」かのような宣伝をしておいて、大ウソやないかい!
移行費込んだらマイナスやないか!

この点、環境科学研究所の統合問題もまったく同じです。

橋下の最大の反論である「二重行政による市民の負担の改善」は今回もまったくのウソだったということです。
 
 

ポイント3 都構想こそ最大の元凶

ではどこに本音があるのか?
結局のところなぜ膨大なエネルギーを投入して、あえて無理な大学統合や新大学設立を行おうとしているのか?
ここが最大の問題です。

その答えは、都構想そのものにあります。
都構想とはなにか、橋下は「体制維新ー大阪都」という著書のなかで以下のように書いています。
 
「大阪の意志決定の仕組みを変えていく。それが大阪都構想なんです」
 
「意志決定の仕組み」?
この本では何度もこの言葉がでてきます。
よくわからない人も多いかもしれない。
しかし同書を読んでいくとだんだん真意がわかってくる。

「国の機能があまりにも大きく複雑になりすぎたので、中央の選ばれた数の人間だけで操縦できるような状態ではなくなりました」

「いまでは最高意志決定機関として戦略本部会議を設けて、そこで意志決定を行っています。……政治的に一定の方針を決めたら、それで現場が動く『仕組み』をつくることにこだわったのです」

つまり大阪都構想とは機構改革であり、様々な現場からの声ではなく、ごく少数の権力者だけが方針決定権をもちうるという改革です。残りの全公務員はそれに従ってただ動くのみという機構にしたてあげるのが都構想です。


ポイント4 新大学が必要なのは都構想ゆえ

だから現場から議論を積み上げる統合ではなく、副首都推進本部で方針をトップダウンで決定し、強制するやり方をとっています。
そして松井知事は「大学は新商品や新サービスを生み出す知の拠点だ。1大学 になったときに大阪の売りになる具体的な研究分野を検討してほしい」
と勝手な注文をつけています。

大学は「新商品や新サービスを生み出す知の拠点」ではありません。そんなことにこそ金をかけなくてもいい。
各企業の研究施設でやったらいいことだ。

これではあたかも「大学」と見せかけて、そのじつ、企業の隠し補助金の巣になってしまうじゃないか。タックスヘイブンじゃあるまいし、企業の儲けばかり優遇するな。

大学とは、すぐさま金になるわけではないが、人間社会がかかえた問題(ときにはこの数年で生み出された課題であり、またときには人類史的なスパンのものを含めて)を解決にむけて大きく前進させるための理論と検証の場であるべきでしょう。

だいたい松井は、「大阪の売りになる具体的な研究分野」ってなんだ?
お前が具体的に言えよ!
ここまでさんざん府民をひっぱりまわして、やりたいこともはっきりしない。あまりにもひどい。

そしてこれこそ都構想なのです、
教育基本条例では、教育目標の責任を知事に負わせています。知事と教育委員会が協議して教育目標を定める。各学校現場はそれにもとづいて教育目標を定め、それが評価されます。
さっきの松井知事の
「大学は大阪の売りになるような新商品考えろやぁ」
というのが、本当にトップダウンの方針になってしまうのです。
これぞ「意志決定の仕組み」の改革。
現場から決定権を取り上げて、トップが決めたことはどんなボンクラであってもすべて執行される
これぞ都構想。
 

ポイント5 これこそ都構想の本質

こうしたトップダウン型の行政システム。
トップがそうとうの大人物であればうまくいくのではないか、と思う人もいるかもしれません。

前述の『体制維新ーー大阪都』のなかで橋下はこう言ってます。
「政治は情、勘、行政は理性、論理です。ですからこの直感、勘、府民感覚、勝負で賞味期限が切れれば、政治家としては終了です。もう使い物になりません。こんなものは長く続きません」
と書いています。

すごいですね。
新大学の方針を「大阪の売りになる新商品開発」としたのも松井知事の「府民感覚、直感」でしょう。
これがトップダウンでこのまま新大学の方針になっていきます。

おおさか維新がなぜ「トップダウン型行政システム」「機構改革」をやりたいのか、などについても、おいおい記事にしていきます。
 
さて、このような新大学も、都構想も、最悪です。絶対に止めましょう。