28日に吉村市長が再修正案の報道。「定款にないことをやらせる」なら、なぜ定款を修正しないのか?
いよいよ大詰めです。
何らかの条例案の修正を3月28日に本会議にかけ、その後委員会で審議、29日に本会議で可決というレールが引かれています。
【3/25毎日】市議会は統合に慎重だったが、吉村洋文市長が公明党市議団の主張を酌んで関連条例案を修正する方針を固めた。公明は賛成の方向で調整しており、大阪維新の会と合わせると過半数を確保する見通しだ。 https://t.co/TFVh0Hb7h1
— 環科研・公衛研守れ@大阪 (@dokuhou_hantai) 2016年3月25日
しかし、まだ決まっていません。あと2日、世論の後押しで、公明党の反対議員にはがんばってもらいたい。
何らかの条例案の修正とは、統合独法の定款ではなく、新たに出した「環境科学研究センター」の条例に、「衛生研究所と連携する」などの文言追加程度と思われます。なぜなら、統合独法の定款の修正は、大阪府議会もやり直しになるもので、吉村市長にとってハードルが高いからです。
そんな小手先にのせられる意味はありません。
この内容で「賛成」になる理由は、市民の健康を守るためではなく、「吉村市長(おおさか維新)と仲良くしたいだけ?」だと市民は受け止めるでしょう。
3月22日の公明・杉田市議の質疑では、感染症法改正によって「衛生研究所の検査は市長の責務」となったことが指摘され、吉村市長は、「平時も市長が十分に指示を出す」「そのために協定書を大阪市と独法で締結する」等の答弁を引き出しました。
これも、統合独立行政法人化の定款を修正しないための小手先です。
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公明・杉田市議:
次に新設センターの条例案について伺う。3月14日に質疑したが、新設センターが独法と環科研の建物に同居することから、健康危機事象が発生した場合にとどまらず、平常時の結核や0157、ノロウイルスなどの感染症が続発していることから、市長が指示を必要とした場合には、指揮命令系統が、センターと独法の2系統にわかれ、対応が遅れることがあってはならない。理事者からは、定款12条で緊急時は市長の判断に従うと説明があったが、明らかにこれは不十分である。 健康危機事象があった場合や、それ以外に、市長が必要と認めるとき、センターも独法も、市長の指示のもとに、十分に対処とハッキリさせることが必要と考える。
吉村大阪市長:
緊急の危機の場合だけでなく、市民の安全を守る必要があると判断した場合、その緊急の危機かどうか区分けと言うのは現実には判断難しいことがある、そういったとき市長の責務として、センターと独法に十分な指示をしていくこと、委員のいうとおり。 実際の対応にあたって、齟齬が出ることがないように、市と独法で協定書を締結する方向で、府と協議していきたい。委員のご指摘の点ははっきり見えるよう示していきたい。
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3月14日の吉村市長の答弁では、「平時は独法の判断、責任となるが、緊急時は市長が指示する」との答弁があり、このブログで「大問題」と指摘しました。
(そのブログ記事はこちら:本日は公明・杉田市議。大阪市委員会 環境科学研究所の統合・独法化についての質疑。(3月14日) - 環科研・公衛研守れ@大阪 )
今回の杉田市議の質疑は、それを受けて修正するものとなっています。
要するに、「平時」も市長が指示をしていくということです。
しかし、これが小手先だというのには理由があります。
問題が あるとわかって、市民の健康を守る機能を維持するためには、統合法人の定款修正に踏み込めばいいのに、それをしない。
定款にはなんて書いてあるでしょうか?
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地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所定款
(緊急時における知事又は市長の要求)
第12条 法人は、公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため知事又は市長が必要と認める場合に、知事又は市長から前条第1号に掲げる業務のうち必要な業務の実施を求められたときは、その求めに応じ、当該業務を実施することとする
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つまり、独法が市長の指示を受けて業務をするのは、あくまで「緊急の事態」だけです。あとは自由に運営するのが、行政から切り離された独立法人の基本です。
定款で言う「緊急の事態」とは、これまでの答弁では、新型インフルエンザなどの新興感染症の大流行などを想定しています。
しかし、「平時」とされる中でも、O-157の流行、ノロウイルスの新型、麻しん、薬剤耐性結核など、市民の健康危機事象が恒常的にあります。これは毎日のことです。これらについて「法人の責任」と市長の責務を放り出し、なぜ、パンデミック時に適切な指示ができるのか?「平時」の技術継承、職員確保に責任を取らず、なぜ「緊急時」のみ、責任が取れるというのか。
杉田議員の指摘の通り、「明らかに不十分」だったのです。
これは定款の根本矛盾です。
これを指摘されて、吉村市長は、「定款にないことを法人にやらせる」と言っているのです。これ、本当は「墓穴」なのです。
「やる」と言えばいいのではありません。
定款に抜け落ちていたのであれば、定款を修正すべきです。
なぜしないんですか?
市民の健康を守るためなら、修正したらいいじゃないですか?
統合研究所の業務は、感染症や食中毒、食品検査など、行政からの依頼検査、調査が9割以上を占めるものです。9割の業務について、「定款にないことを法人にやらせる」ことは、新たな法人の根本問題です。
何のための「定款」なんですか?
「定款」とは、地方独立行政法人法で、法人の業務の範囲を定めるものです。
「緊急時」と規定されていたことを、「平時」も適用する。
これは、根本的な業務の変更です。
こんないい加減でいいんですか?
とても「市民の健康を守る」ためには見えません。とにかく、統合、とにかく独法化したい。それだけ。2017年4月に発足したい、そのためには3月29日に可決がいる、それだけですか?
あ、それか、府立公衆衛生研究所の山本所長が、定年延長の最終年なので、2017年4月に法人化すれば理事長に任命できるからですか?
定款修正しない理由を、だれか、賛成する議員は市民に説明してください。
私は、このような無責任な、将来に禍根を残すやり方は絶対許せません。
『黙々と市民の生活・安心・健康を守ろうとするその蓄積というのは、失ってしまえばもう二度と取り返すこともできないし、もとには戻らない』
これは、公明党の石原市議の発言です。
可決されれば、次は「中期目標」の可決、総務省への認可申請となります。法的手段を含め、徹底抗戦します。