まとめページ。「大阪市立環境科学研究所」「大阪府立公衆衛生研究所」の統合・独法化問題(2018/06/28最終更新)
この記事は、全体まとめページです。(随時最新情報に更新し、トップに配置。)
はじめて来たかたに、ひととおり論点を知ってもらえるように、「研究所とは?」「大阪維新の統合・独法化案は何が問題なの?」ほか、議会動向など必要な情報をまとめています。
2017年4月に、統合・独法化が強行されました。
当会は、そのときから、長期戦を見越して活動を一時停止していましたが、約1年の充電期間を経て、活動を再開します。
ブログ活動の再開にあたり、まずは、まとめページを時点更新しました。順次発信していきます。(2018.6.28)
(最終更新は2018/06/28)
会員の大石あきこが、淀川区で活動開始!
環科研・公衛研まもれネットワークの会員である大石あきこ(このブログで、いろんな分析記事を担当)が、このたび、大阪府職員を辞めて、「大阪府政に新しい風を」と活動を開始しました。
2025年の万博をカジノ付き負の遺産にしてしまうのか、
介護や保育を成長産業にして、豊かな大阪を築くのか。
新しい風に大いに期待します。(by 他のメンバー一同)
どんな発信をするのか楽しみ!笑
フェイスブックやツイッターなどのフォローよろしくお願いします。
都構想で1兆円超の節減効果 あるわけないやろ シリーズその4
7月11日に大阪市と府によって公表された、「都構想の1兆円の節減効果」の試算の結果報告書「大都市制度(総合区設置及び特別区設置)の経済効果に関する調査検討業務委託報告書」(全108ページ)(以下「報告書」という)の内容について、批判したいというコンセプトで、タイトルのシリーズ、第4回目です。
いやー、この試算の報告書を読んでて、しみじみ思いだすのは、2016年8月22日の「副首都推進本部会議」をウォッチしたときのことなんですよね。
(´-`).。oO
以下、当時のブログ記事から抜粋・加工して引用。
======
(二重行政解消のからみで、大阪府と市の工業研究所の統合について)
上山信一・特別顧問:
すでに府と市の工業研究所とも合理化しており効率は良い。そのうえで、市の研究所の実績を見ると、大阪の宝だと実感。「スーパー公設試」は夢として色々なところで言われているが、大阪府と市には2つの宝がある、それを融合して、産業支援に活かしていく。それ以外の選択肢はないと思う。
当会の心のツッコミ:
なーにが「スーパー公設試」だよ!スーパーサイヤ人かよ。2つの宝をフュージョンさせたら戦闘力が急に増すんかい。現実離れしたことは二次元の世界でやってくれ。
まじめにやっている現場の人が恥ずかしく思ってしまうようなネーミングをやめろ。
===引用ここまで===
もう・・・あなたたち・・・いまだに、
ほんっっとに、スーパー公設試脳だよな!
って心の中で突っ込んでるんですけど、マニアックすぎて誰もわかってくれなさそうなのでブログ記事再掲してみました。(もとのブログ記事はここで読めます。)
今回、とりあげるのはシリーズ第2回に引き続き、病院などの府と市の経営統合による歳出減の効果額について(のデマ)なのですが、データの細部のことではなく、全体的な問題を指摘したいと思います。
実際、工業研究所は2017年4月に、形だけの経営統合(スーパー公設試(笑))(笑えんわ!怒り)をさせられてしまいましたが、
「統合してスーパー公設試になってんから、戦闘力アップするんちゃうん」みたいな話は、三次元ではあり得ないですよ。
ってことを、まじめに説明したい。
そもそも、経営統合のような、とても大きな改変をともなう行政施策が、どう検討されるべきか。
大きな改変にはメリット・デメリットがつきものですので、失敗は許されない。
だから、ひとことでいうと、意思決定には、科学的プロセスが要る。
具体的には、以下のプロセスだと考えます。
(表は当会作成。イラストはフリー素材icooon monoを使用。)
このような流れで、行政と市民(議会)とのあいだで、充実した議論がなされ、優れた施策であると結論づけられたら導入する、ということが必要です。
仮定や分析結果が不十分であれば、採用するべきではないし、
十分であっても、総合的に議論して採用されなければいけない。
しかし、
維新府政になってから、とりわけ、ごり押ししたい都構想やカジノに関して、これらのプロセス全てがデタラメ・デマになっていませんか?
①仮定もデタラメ・デマ、
②仮説の検証・分析もデタラメ・デマ、
③最後の議論もデタラメ・デマで乗り切って、強行採決をねらう。
そんな状況になっているでしょう?
信じないかた向けに、
まずは、①仮定・仮説と、②仮説の検証・分析について、
デタラメ・デマだと思う理由を、同じ「病院改革」をテーマにした、内閣府の報告書(2016)と、都構想の試算の報告書(2018)を比べることを通じて、説明してみます。
いかに都構想の試算の報告書の①②がレベルが低すぎるか、わかっていただけるかと思います。
内閣府の「公立病院改革の経済・財政効果」報告書との比較
病院改革の経済効果については、
2016年に内閣府が公表した、「公立病院改革の経済・財政効果について」のレポート
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/08seisakukadai10-0.pdf
というのがあります。
これは、
「地方において急速な人口減少と高齢化が進む中、地域医療サービスの安定的供給と、自治体の財政負担の抑制を両立させるために、病院の経営改革は喫緊の課題である。」
という問題意識を背景に、
2007年総務省の誘導のもとで「公立病院経営改革プラン」の取組があった期間(2007~13年度)を中心に、個別病院の経営データ(全632病院のデータ)に基づき、公立病院の医業収益及び費用の変化を、病床規模別・立地条件別に検証した。
というもの。
つまり、今後の、病院の経営改善の要素を見つけ出そうということ。
都構想の試算の報告書の主旨とも、かなり、ドンピシャで、重なっていますね。
なんらかの分析をするとき、事前に、類似の既存研究の調査とマッピングをするのは、当たり前の下処理ですから、
都構想の試算の報告書は、2018年に作成されたのですから、当 然!2016年に公表された内閣府の報告書も、事前に調査・参照されたことでしょうね!
さて、2016年の内閣府の報告書に戻ります。
えっと、分析方法は、
「公立病院は立地や規模といった所与の経営環境に大きな差異があるため、立地条件については不採算地区病院の該当条件によって、また規模については病床数によって、サンプル病院全体を4分類して分析を行った。」
なんですと!?
疑問1)おいおい、2016年の内閣府の報告書の時点で、病院を立地と規模の4分類にわけて分析しとるがな。都構想の報告書は全病院いっしょくたにやってもてたけど、粗すぎひんか、大丈夫か!?
実際、内閣府の報告書の表を見ると(以下)、
立地と規模での4分類(分類ⅠからⅣ)ごとに、「収入が増えたか」、「費用が増えたか」でさらに分類すると、立地の違い(ⅠとⅡ)でも明確な差が見られ、規模の違い(ⅠからⅣ)でも差が出ています。
疑問2)いくら都構想の試算が、事務職員の人件費だけを扱っているとは言え、少なくとも経営改善の方法を考えるなら、小規模で不採算立地の病院を大病院と同列のデータにしたらダメなんじゃないでしょうか。
(あげく、相関がないし。)
これだけではなくて、
内閣府の報告書では、比較検討するためのデータの前処理が、非常に注意深いんですね。
例えば、「収入」1つ取っても、自治体からの繰入金の寄与度が大きいので、それを排除したデータで統一して、比較する。
「支出」も、自治体からハード整備費用をもらった病院とそうでない病院を同列に比較できないので、それらの整備費は除いたデータで比較する。
疑問3)これに比べて、都構想の試算の報告書での全病院プロットのグラフの粗いこと。
縦軸の人件費の幅が、ゼロ円から20万円と、お値段びっくりなななんと!(ジャパネットたかた)になってるじゃないですか。
無処理にもほどがありますよね。
まずプロットしてみて、あかんなと思ったらデータを前処理して、かつ、病院の特色で分類したほうがいいんじゃないかな、って常識のある分析者なら考えるんじゃないでしょうか。病院の特色で、事務の量や質に違いがあるでしょうし。
内閣府の報告書に戻りますが、
分析も、単に相関があったことをもって、因果関係があると取り間違えることがないように、
この十年の公営病院の経営の傾向、地域の人口減少による経営悪化の可能性といった、他の要因の検討を加え、何層もの比較をしています。
その結果として、
・全体的な傾向としては、入院にともなう収益が、収入が増える要因として大きく、かつ大病院ほど有利だということ
・一部の傾向として、経営努力による医薬材料費の削減の可能性が推測されるということ
などを明らかにしています。
(内閣府報告書P.30ほか)
ちなみに、ツイッターで「内閣府の報告書にも、相関グラフのあてはまりの良しあしを表す、決定係数R2が、0.18程度とかなり低いものも扱っているくだりがある」と、ご意見をいただいたことがあって(ご意見、とてもありがたかったです。)
それについても考えを述べておきたいです。
以下はそのグラフです。
たしかに、このグラフをもって、R2=0.18のグラフだけ「正の相関がみられる」「他は見られなかった」としているのは、何を判断基準にしているのか不明です。
なので、ここは内閣府報告書での疑問点の1つではあります。
しかし、「入院患者よりも外来患者のほうが、人口構成や高齢化人口の高さに影響を受ける」という仮説を、定性的な説明と、このグラフを含めたいくつかの検証材料によって示していたこと、このグラフの結果を過大に評価していないこと、などから、そう違和感の残る内容ではなかったです。
ながくなりましたが、
もう一つ指摘しておくべき点があります。
内閣府の報告書の結論では、
2007年からの10年で、独立行政法人化などの「経営改革」がおこなわれた結果、
経営が悪化している病院のうちの一部で、医師、看護師、医療技術員の配置数の不足などによる病院側の医療供給機能の低下が、経営悪化の要因の可能性がある
と指摘している点です。
そして以下のようにまとめています。
「公立病院改革の実施期間における経営改善の度合いとその構造には、病院の規模や立地条件といった環境によって、相当な差異が認められた。今後の人口減少等が一層進む中で、公立病院が地域のニーズに応じ、採算確保が困難な特殊医療も提供しつつ、独立採算を目指すためには、各公立病院が直面する環境に合わせた経営改革の処方箋を描くことが必要である。」
どちらかというと病院改革が必要だという問題意識からはじまっている内閣府の報告書で、この結論、注意深く受け止めるべきではないですか?
この内閣府報告書が2016年に出て以降に、病院改革を検討しようという自治体なら、この報告をふまえての、仮説の設定と、その検証が必要ではないですか??
それに比べて、2018年の都構想の試算の報告書はこう。
===
病床数2,572 床の大阪府立病院機構と、同1,524床の大阪市民病院機構を経営統合すれば、合計4,096 床という規模の地方独立行政法人が登場することになり、これによってどの程度のコストを抑制できるか
===
いやだから、それスーパー公設試やん!!
(って今ならみんなでつっこめるよね?)
維新関係者の方々には、どうかわかってほしいです。
他の関係者の方々には、9月議会で徹底議論をしてほしいです。
(当会ブログ記事は全て、引用、転載歓迎です。)
最後の議論を「デマで押し通されて終わりました」とならないように。
次回は、都構想とは、維新の経済政策とは、カジノとの関係性とは、
といった内容で、このシリーズを終えれたらなぁと思っています。
都構想で1兆円超の節減効果 あるわけないやろ シリーズその2の小ネタ
7月11日に大阪市と府によって公表された、「都構想の1兆円の節減効果」の試算の結果報告書「大都市制度(総合区設置及び特別区設置)の経済効果に関する調査検討業務委託報告書」(全108ページ)の、このシリーズの第2回目ですでに扱ったグラフ。
ふりかえりにぼーっと見てた。
ぼー・・・
・・・ん?
んんんんん?
(((((( ゚Д゚;)))))))
じ、人件費ゼロだとっ!?
その病院どこ???
その病院の経営を参考にすれば、事務職員の人件費ゼロにできるんちゃうか!?笑
笑えんわ!怒
プロットしたの、どの病院やねん。ゆうてみいや。
他にも人件費ゼロに近いプロットがけっこうありますね。
分布図のあてはまりの悪さにとらわれてしまい、肝心の社会常識的要素を見落としてしまいました。
あてはまり以前に、元データもやっぱりデマだったか?
簡単ですが、今回は以上です。
都構想で1兆円超の節減効果 あるわけないやろ シリーズその3
7月11日に大阪市と府によって公表された、「都構想の1兆円の節減効果」の試算の結果報告書「大都市制度(総合区設置及び特別区設置)の経済効果に関する調査検討業務委託報告書」(全108ページ)(以下「報告書」という)、
この業務委託は、入札ではなく、公募型プロポーザルという、提案内容を採点し、合計点が高い者に発注する方式。(契約形態としては随意契約。)
第一回目の公募が、応募ゼロだったのは、シリーズ第1回でお伝えしたところですが、
今回の再公募では、みごと採用された「嘉悦大学」と、もう1者「みずほ総合研究所」が応募したんですね。
2者しかいないので、誰がどんなQAしてたかとか、採点結果が誰が誰か、わかりやすいんです。
提案書提出前のQAが・・・
「(大学の実績は少ないため)教員の実績を記述でよいでしょうか」
「実施主体:業績の著者等(でよいでしょうか)」
笑
だめでしょう。
「実施主体」さえ大学でなくてもいいですか?って、大学側、けっこう引いてますやん。。。
笑
いやいや、絶対公表されますって。
(もう1者のみずほ総研は、同様の公募はやり慣れてて、そんな質問するわけないから、大学側の質問ですね。)
大学側、明らかに引いてますやん。
「教員」って誰なんでしょうね、それは公募のとき提出された実績資料に入ってますが、HP公表まではされてません。情報公開請求したら出てきますね。。。
(なお、上記画像のQAは大阪市HPで公開されています。このリンクの一番下。)
大阪市:大都市制度(総合区設置及び特別区設置)の経済効果に関する調査検討業務委託
当会は、その教員は「嘉悦大学付属経営経済研究所 所長 真鍋雅史」ではないかなぁと予測します!
なぜなら真鍋雅史さんは、2014(平成26)年1月、まだ橋下市長のころ、以下の会議で有識者として、報告書と同じような、「大阪都構想の意義」を語っていらっしゃるからです!
===真鍋氏「大阪都構想の意義」からの引用===
(3)大阪都構想の都市競争力強化を通じた経済効果
○特別区の経済効果
・行政効率化による財源効果(900 億円/年)→経済効果(4000 億円程度/年)の可能性
仮に全てを設備投資減税の財源として活用したとすれば、 3~5 倍の額の設備投資を誘発
→大阪GRPの 1%程度に相当
===引用ここまで===
大阪府/第2回 大阪府知事・大阪市長による府市再編に関する有識者ヒアリング(1月10日)について
なお、真鍋さんは、大阪市特別顧問の高橋洋一氏(嘉悦大学)とお仲間であり、竹中平蔵さんとも共同で本も書いている方です。
いやー、『アベノミクス・都構想 御用達学者相関図』を作りたくなってきますね。
提案書の採点結果が・・・
A社が嘉悦大学、B者がみずほ総研ですよね。
とくに嘉悦大学(のある教員)が「業務の理解度」で、差をつけていました。
真鍋雅史さんは上述のとおり「都構想の経済効果」説の生みの親なので、そりゃ理解度は高いでしょうね。
そもそもみずほ総研も、2者での競争にしないとアレだからと頼み込まれて、負ける気で公募しただけですしね。
以上、報告書の内容とは違う、ゲスの勘繰りでした。
なお、まだこのシリーズで、報告書の経済効果の章への記事を作れていないのですが、内容的に記事にまとめるのに数日中とはいかなさそうです。
少なくとも、経済効果の試算、「マクロ計量経済モデル」なんてうたってますが、その仮定(世界観)の時点で終わってて、
『大阪府知事と大阪市長の意見調整の必要性がなくなれば、「生産力」の指数が東京と同じになる』という仮定で1兆円の経済効果をひねり出してるんで、
アホかいなとしか言いようがない、というのは確かです。
ただ、アホかいなだけではおもしろくなくて、じゃあ、私たちが、どんな大阪市・大阪府を、どんな生き方を望むのか、違う世界観を提案しないといけないと考えています。
当会に限らず、いろんな方々、特に学識の方々の報告書への批判も出ているようなので、そういったものも紹介していければと思っています。
【QAとか採点とか何?という人のために。プロポーザル公募の流れは、以下。】
公開(3月30日)・質問受付
↓
質問回答(4月11日HP公表)
↓
提案書受付締め切り(4月20日)
↓
選定委員会(4月25日)
↓
受注者決定・契約(契約期間は6月29日まで)
都構想で1兆円超の節減効果 あるわけないやろ シリーズその2
7月11日に大阪市と府によって公表された、「都構想の1兆円の節減効果」の試算の結果報告書(全108ページ)(以下「報告書」という)の内容について、批判したいというコンセプトで、タイトルのシリーズ、第2回目です。
シリーズ第1回目はこちら。↓
シリーズ第2回目の今回、とりあげるのは、病院などの府と市の経営統合による歳出減の効果額について(のデマ)です。
効果額としては最大67億円(10年間で。1年あたり6.7憶。)と小さい(※)のですが、当初、都構想でぶちあげていた「府市統合による二重行政の解消・効率化」を試算している章なので、
都構想の根幹からデマだった、と示すことにもなるので、とりあげました。
(※)効果額の1年あたり6.7憶円が、どのくらい小さいかと言うと、いま、都構想を進めるため設立されている「副首都推進局」の経費(人件費を含む)が府6億円、市6億円で毎年12億円かかっているので、都構想で「二重行政解消」するための経費のほうが毎年5億円超になるくらい、試算の効果額が小さいです(しかもそれさえデマ)。
ちょ、当てはまりわるすぎ(デマでしょ)
効果額の試算のなかで、俎上(そじょう)にあがっているのが、病院統合と大学統合。
いずれも、「住民サービスが低下しないように」考えたところ、「事務職員の削減」だけを統合効果とするということです。
環科研・公衛研の統合のときの最終的な効果の考え方と同じですね。
(事務職員の仕事をなめんなよどんだけ現場を知らんのやと思いますが、置いておきます。)
全部同じロジックと同じような結果なので、今回は病院の経営統合を例にします。
それで、試算の報告書の、経営統合効果の可能性を検討するグラフがこれ。
縦軸が、病院の1床(入院ベッド)当たりの事務職員の人件費、
横軸が、ベッド数(対数値。logの「底」を含め詳しい定義は記述になくわかりませんでした)。
そこに、全国の公営企業形態の病院と、府立病院機構、市民病院機構をプロットしているようです。
そして、この図について、報告書では、
「この図からは、病床数が増えると1床当たりの事務職員等の人件費が減少していくという関係性がやや明瞭ではないものの見受けられる。」
って言ってるけど
疑問1)見受けられるかぁぁ???だいぶ不明瞭やぞぉ?
報告書のその続きも、
「仮に」関係性があれば、経営統合で人件費を削減できる「可能性」を「想定」できることになる。
って、
疑問2)ほら、どんどんトーンダウンしてるやん。さては後で役所側が報告書に手入れたやろ、そこ。
「さすがに言いすぎや」ってね。
さて、みなさんがこの報告書の業務担当者なら、「関係性がある」という、どういう近似曲線(直線)、引きますか?
曲線だったら・・・こうかな?(赤い曲線は当会の手書き)
うーん。当てはまってるかなー。
いやいや、ここはビシッと線引いて、「当てはまってます!」と言い切るのが大事だ。
これではどうだろうか?(赤い直線は当会の手書き)
いやいや、これでは正の相関になってしまって、経営統合したら余計に高くついてしまうではないか!ばか者!
では、これではどうだ?(赤い直線は当会の手書き)
ってな会議をやったんでしょうかね。
分布図に相関の線を引く、というのは、正でも負でもどっちにも計算はできる。
ただ、デマだと、当てはまりが悪くなるだけなんですよね。
そこでデマだとバレるだけで。
あ、報告書に当てはまりの良し悪しの結果表ありました~。
疑問3)え”っ 決定係数(R二乗)が高いほうで0.155?
それって、当てはまってませんよね?
adjR2は重回帰分析の当てはまりの良さを表すために補正された決定係数(R二乗)
。
R2は、0から1の間の数字で、1に近づくほど当てはまりが良いという指標です。
普通はR2は、0.7以上が求められるんじゃないですかね?
個人的に、R二乗が0.017とか0.155とか、そんな数字のグラフ掲載は見たことないです。
恥ずかしくて載せないんじゃないんですかね。
実際、シリーズ1で紹介したデマ図さえ、R2は0.9程度でした。
(その図は元データがデマでしたが、近似式の当てはまりだけは良かった。)
疑問4)自分でも当てはまってないと認めてる結果を、効果の試算額に入れるか?しかもその後、”府知事と市長の意思決定率”のようなわけのわからない係数で、この当てはまってない結果をさらに掛け算に回して、こねくりまわしてました。税金でなにしてるの?
いや、わからないですけどね。
単に報告書がブラックボックスなだけなので、当会の指摘もあたらない部分があるのかもしれないので、なんらか、真相を明らかにしていきたいですね。
(ブログの引用はもちろん自由で、歓迎です。)
でも、デマやろうなと思うもう1つの材料なんですが、この報告書では、シリーズ1の図と違って、近似曲線(直線)の図は、掲載されてなかったです。
見せ方が重要と思う御用学者だと、最後の見せグラフで、近似の線をいじって、角度変えたり、線をぶっとくして当てはまりが良さそうな騙し絵にしたり、やるでしょうね。
それさえやりようがなかった、手の施しようがなかった、ということなのかなぁ。
なお、他にも、府と市の病院のデータだけ、”機構”として別統計資料からプロットしているのも、なんだかあやしいのですが、まあ本論じゃないので置いておきます。
また次回をお楽しみに。
都構想で1兆円超の節減効果 あるわけないやろ シリーズその1
6月末に「まとめページ」でブログ再開宣言してましたが、まとまった投稿は久しぶりになります。
出ましたね。
「大阪都構想の効果試算」。
大阪市なくしたら、いったい、いくら効果があると思ってるの??
♬♬♬
・・・1 兆
笑
ないな。
知事の松井氏もなんだか遠慮気味でしたね。まさか、自分で引いちゃってたのかな?
この試算について、いくつかシリーズで批判していきたいと思います。
いわくつきの「試算」の業務委託、受注者はやっぱアレだった
そもそも、この「都構想の効果の試算」は、1000万円(府500万、市500万円)かけて、
昨年度(2017(平成29)年度)に委託を実施するはずだったんですよね。
昨年度、府市が募集をかけましたが、誰も手を挙げてくれず、まさかの不成立。
こんなに世間に注目されている案件で、手を挙げた業者さんが無しなんて、前代未聞というか恥としか言いようがないですよね・・・
担当部署の副首都推進局なんて、エリート視されてる屈強な職員ばかりだろうに、その人らが、業者さんに裏で「参加してよ~」とか必死で働きかけても、誰も手を挙げてくれない、そのくらいリスキーな仕事だったんですよね。
では、これを受けに行く業者となると、よほど恥知らずか、御用か、どっちかですね。
(恥を知ってる御用、って見たことないけど。笑)
それで、再度、募集して、受注したのが、えーっと
嘉悦大学・・・
はて・・・
あっ 大阪市特別顧問でおいしい思いしてる高橋洋一氏が教授をやってる大学じゃないですか!
しかも竹中平蔵も経営の役職してる大学やん。
もう完全に安倍=維新とグルの一味じゃないですかー。
恥知らずで、かつ、御用中の御用じゃないですかあ。そら手挙げるわな。
府民と市民の血税1000万円をムダにして、住民を裏切るようなことはよもやないよね?
ということで、チェックするため、当会で、試算の結果報告書(108ページ)(以下「報告書」という)読みました。
なお、報告書は、以下の市のホームページからダウンロードできます。
読んだけど。
いやー、やっぱ裏切られたな住民。税金返せこんなもん。
論点
当会としては、もう少しじっくり調べながら、報告書を、主に以下の論点でシリーズで批判していきたいところです。
●試算「モデル」の世界観への批判
(「住民への歳出を抑えた額で、経済活動への投資を行う」「意思決定関与者が少ない」を善とする世界観ほか)
●前回の都構想の効果額試算方法との共通点と、不整合の点
●仮説の根拠がわからず、検証もない上にデマ(=モデルとして終わっている)な点
●他、いろんなずさんなところ
今回、第一回は、手早く作れるという理由も大きいのですが、
維新市政・府政が、意図的なデマで都構想を進めようとしていることがわかるため、
3点目の「仮説の根拠がわからず、検証もない上にデマ」の一例をとりあげます。
なお、これはデマの重要な代表例ではありますが、一例に過ぎないです。他にもいっぱいありますので、1つ1つとりあげます。
そのU字仮説、ほんまでっか?(デマでしょ)
まず、これは報告書に貫かれている仮説の、簡単なイメージ図です(当会作成)。
簡単には、
曲線がU字になってて、人口が大きすぎても小さすぎてもアカンのよ、だから特別区に市を分割したいのよ~。
という意味です。(総合区案も同じように、最適解の合区をしたいのよ~、の理屈になっています。)
U字でないと、単に右肩下がりとかだと「大きな大阪市のままで分割せんのが、一番効率ええがな」ってなるもんね。
だからU字仮説は絶対、特別区案の外せない理屈なのです。
なぜU字になるのかについて、報告書で言ってることは以下。
==(報告書引用)==
人口と歳出の関係を図に表すとU字の関係となることが知られている。すなわち、地方自治体の財政構造は人口が増加すると、規模の経済性が働き、住民1人当たりの歳出が抑えられる。一方、人口規模の拡大は、きめ細やかな行政サービスを困難にさせる。補完性の原理の恩恵を失わせてしまうため、過度に人口規模が大きくなると住民一人当たりの歳出は拡大してしまう。
(中略)言い換えれば、最も効率的に財政運営を行える人口規模が存在すると考えられる。
==(報告書引用おわり)==
それで、いや、「知られてる」って言われても・・・知らんよ・・・
一般論として、規模の経済(スケールメリット)で右肩に下がるくらいはわかるとしても。
補完性の原理(基礎自治体で出来ることはやる、やれないことを都道府県や政府が補完するという行政上の役割分担の原則論のことですよね)の「恩恵」を「失わせてしまう」ってなに?全然ぴんと来へん。
一般に、距離が遠くなると移動のコストがかかるのはわかるけど、それってむしろ都市部ではないし、人口と直接関係ないし。なんのことですかね?
ああけど、報告書に、実際の自治体のデータでの分布図があるじゃないか。
その実際の図がU字になってれば、まあ、そうなんじゃね?
というわけで、以下、報告書の分布図。
(デマをあばく都合上、プロットされてる自治体名が明記されている総合区試算用の分布図を採用した。)
疑問1)・・・これ、ほんとにUですか??
Uかなぁぁぁ?って、もっとツッコミたいんですけどね、いったん置いといて。
さらにおかしなことが。
上図は、赤い三角▲が大阪市の24区、緑の丸●が浜松市の7区なのですが、この2自治体だけは「予算書の入手の都合上、人件費も足し合わせた額になってる」って言うんですよ。
いや、
疑問2)人件費の割合って高いよね?そこ統一せんままでU字曲線求めるとか、言う?
ってことで、あやしいな、と思って、大阪市のホームページで各区の予算書見に行ったら、この分布図の額と概ね一致する、人件費を足し合わせた額はあったんですが、人件費を足し合わせない額もあったんですよ。15分もあれば、人件費除いた数字出せましたよ。
大阪市:平成30年度予算編成過程 (…>予算・予算編成過程>平成30年度予算)
疑問3)え?なんで大阪市の人件費をすぐ除けたのに、除かなかったん???
疑問4)ていうか、ネット検索が下手だったとしても、発注者の大阪市本人に、当然データもらいなよ?
どんな仕事してんねん、あやしすぎる・・・ってことで、当会が、人権費を除いた大阪市24区のデータで、赤い丸●で、報告書の図の上にプロットしたのが以下。
疑問5)全然かたち変わってしもてるやん。しかもやっぱ、Uちゃうやん!
浜松市の緑の丸も、絶対同じことになりますよね。そしたらせいぜい、「かなりゆるい右肩下がり」やん・・・
こんな状態で、報告書は進み、U字の近似曲線、作っちゃってましたよー。
(近似曲線の当てはまりの良さを示すAdjR2が0.9程度と、現状の分布には当てはまりが良い、という曲線になっている。)
そして、そのUの一番下(くぼみ)のところに合区した総合区がうまいことはまって「総合区は、今の24区より効率がいい」と結論づけました。
それがこれです。
疑問6)当会のプロットで曲線つくったら、全然ちゃう結果なってるよね?
「-」にきわめて近い「U」になって全く歳出削減効果がない結果とか、
U字の近似式の当てはまりが悪いものになるとか、
最適解の人口(Uのくぼみ部分)が35万程度にはならないとか、
になってるんちゃいます?
他市のは「定数項ダミーで補正してる」と言いたいのでしょうか?
15分でできる大阪市の人件費を取り除く処理のが絶対先でしょ。人件費も加味して効果評価したかったのなら、他市のも足し合わせてから評価しないと推計の意味ない。なぜ仮定に仮定を重ねた推計をする?
ちょっと時間かけて正しい近似式の計算やってみよか?(誰かやってほしい・・・)
いや、わからないですけどね。
単に報告書がブラックボックスなだけなので、当会の指摘もあたらない部分があるのかもしれないので、なんらか、真相を明らかにしていきたいですね。
(ブログの引用はもちろん自由で、歓迎です。)
ちなみに、上記までの内容は「U字仮説のデマ」をあばく、という目的だけで、データの出典がある程度つかめる総合区の試算を例にしました。
本丸である特別区の試算ではどうなのか?
特別区の試算も同じU字仮説で、特別区の試算では、以下の全国の全市町村(約1700)の分布図(住民1人当歳出と人口)が掲載されてます。
疑問7)U字かなぁぁ???このグラフだけを根拠にモデル作って、50万人規模(≒特別区)が最適解で、歳出削減効果1兆円とか、言える?
彼らの出してきた数字は「デマ」としか言いようがないです。
けど、当会も、定性的には(説明の世界では)、U字にはなり得る、とは考えているんですよ。
ただし、彼らとは逆の理由で。
というのは、
もし、人口規模のでかい市がやや歳出増だとしたら、それは政令指定市なんですよね。(上のグラフもそう見えますね)
政令指定市はかなりの権限を持って地方自治をやるんで、中核市や一般市とは一律で比較できない権限や責任を持つんですよね。
そこは歳出は「増」にはたらくとは思います。
有機的に発展する都市と住民の幸せを支えるため、むしろ「補完性の原理(ニアイズベター)」という行政ポリシーを貫いた結果としての、歳出増だと思います。
この報告書では、「補完性の原理」の「効果が失われて歳出増」って説明してるんですけど、逆だと思うんですよね。
「補完性の原理」の「効果によって」歳出増、なんじゃないの?
まあ、これは当会の仮説であり世界観であって、数字で検証してません。
「補完性の原理」(ニアイズベター)という行政ポリシーが、若干の歳出増程度で、達成できるのが、政令指定市の良さなんじゃないですか???
それを、デマまで使って、Lに近いUの、些細な歳出額を、大都市自治体の誇りと責任と一緒に、切り落とそうというのが都構想の本質じゃないですか?
ここは、またシリーズ何回目かで、本質論として、展開したいと思います。
他にも、そもそも、区の予算ってまちづくり事業費とか、限られた予算だけなので、この数字で試算するってこと自体が何か意味があるの?という疑問もあるし、
まだまだ、試算額の結果とかも、ツッコミたいところはあるのですが・・・。
今回は、数字を用いた デマをテーマにお送りしました。
4月26日に「どないネット」集会。まもれネットも発言します(^^)
以下の集会、当会も、発言させてもらいます(^^)
====
どないなる?大阪!
「都構想」・民営化を考える市民集会
皆さんのご参加をお待ちします
日時 2017年4月26日(水)18時30分~
会場 エルおおさか 7階708号室
参加費 資料代として 500円
<内容>
1、市議会の結果と課題提起
2、課題別の問題提起
(1)交通事業の民営化と諸問題
(NPO法人・COALA)
(2)市営水道事業の民営化と諸問題
(NPO法人・AMネット)
(3)IR・カジノ誘致の諸問題
(カジノ問題を考える大阪ネットワーク)
(4)各種研究所の統合と独法化問題
(環科研・公衛研まもれネット)
(5)住吉市民病院統合・移転問題
(住吉市民病院を充実させる市民の会)
3、5・17住民投票2周年集会の提起
(5月17日 18時30分 中央公会堂)
(大阪市を知り・考える市民の会)
4、まとめと運動提起
*集会主催
どないする大阪の未来ネット
連絡先:大阪市北区天満1-6-8 六甲天満ビル
おおさかユニオンネットワーク気付
大阪府・市の労働と人権問題を考えるネットワーク
(電・FAX) 06-6355-3101
(Eメール)donaisuruosaka@gmail.com
(ブログ) http://donainet.seesaa.jp
総務省も「忖度」か?独法化認可について情報公開請求しました。
当会が阻止を取り組んできた環科研・公衛研の統合、独法化については、3月29日に総務省が独法化の認可を出して、4月1日の独法化が強行されました。
は?
総務省は、組織体制も、就業規則も、収支計画も未定のまま、いったい何を根拠に認可したんですか?
総務省も「忖度(そんたく)」したようですね。
まずはその部分をおおやけに明らかにするべく、3月末に、当会で、情報公開請求を出しました。
3月31日に、大阪府の第三者評価委員会で、やっと収支計画、業務方法書案が、はじめて提示された。
総務省はこれを経ずに3月29日に認可を出した。この事実は重い。
維新と、忖度した役所幹部(大阪市と府と総務省)は、「さあ、終わった終わった」とでも思っているでしょうが、何も終わっていません。
維新は、「4月1日に独法化した」と言いたいだけで、内実は、予算の名目を変えて看板を貼り替えただけ。
でっちあげ、というやつですね。
今なら看板を貼りなおして予算の名目を変えればもとに戻せます。
早ければ早いほうがいい。
当会は、なんでもできることはやります。
(余談)総務省への公開請求は、印紙は300円でいいです。今回、当会が400円貼っているのは、コンビニでは200円単位しか売っていなく、急ぎ、400円ぶん貼ったものです。そもそも情報公開は無料でネット申請させんかい、と思ってます。
3月議会・都構想案件 結果まとめ(2勝5敗4分)維新の矛盾はこれから
3月28日で、2-3月の大阪市と府の議会がすべて終わりました。
森友学園で大騒ぎになるなか、都構想案件も動きがたくさんありました。
今回の議会で、都構想関連の議案がどれくらい進んで、進まなかったか。
リストを更新しました。
案件が手続きとして最後まで進んでしまったものは★、案件が廃止等になったものは☆、をつけました。
都構想を止めたい立場から見ると、☆の数で言うと、
2勝(☆)、5敗(★)、4分け(手続きが途中)となります。
しかし、「5敗(★)」としたものも、
(①地下鉄の民営化。
②バスの民営化。
③環科研・公衛研の統合・独法化。
④市工研・産技研の統合。
⑤公立幼稚園の廃止。)
それぞれの分野で矛盾と闘う人たち(住民、働く人)が存在しています。
民営化や廃止までに時間があり、状況が変わり得るものもあります。
なにより、勝った・負けたで済む話ではなく、住民の安全を守る闘いという意味で、むしろ全ての勝負がこれからだと思っています。
まだ負けたものは1つもないし、負けるわけにはいきません。
維新はピンチですから、こちらはチャンス。
ひっくり返そう。
当会が阻止を取り組んできた環科研・公衛研の統合、独法化については、3月29日に独法化の認可がおりてしまいました。
4月1日の独法化を強行すると言っています。
非常に悔しいです。
しかし、維新は「さあ、終わった終わった」とでも思っているでしょうが、住民の健康を守れない状況が具体的に起きてくるのはこれからです。
矛盾を明らかにし、この為政者に責任を取らせる必要があります。
都構想さえ進めばいい維新と、住民の安全を守ろうとする人たち、どちらが責任勢力なのか、はっきりさせていきませんか?
そして、元凶である都構想を止めましょう。
当会の方針は、近々、発信します。
多大なるご支援・激励をくださったみなさま、今後ともよろしくお願いします。